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新型コロナワクチンは1回当たりいくらかかったのか?それは秘密だが、単純計算してわかったこと

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
ワクチン確保の予算措置が明らかに(財務省「社会保障」財政制度等審議会配布資料)

3回目の接種を進めている新型コロナワクチン。そのワクチンの接種1回当たりに、いくらかかったのか。

ワクチンの値段は、政府と製薬会社との間で秘密保持契約があって明らかにされることはない。

しかし、この度、財務省からワクチンの確保のための予算措置に関する資料が公表され、そこからその金額が明らかにできた。

資料は、4月13日に開催された、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会財政制度分科会の会合での配布資料である。

その資料には、下のような表が載っている。

ワクチンの確保状況 出典:財務省「社会保障」財政制度等審議会財政制度分科会2022年4月13日会合配布資料
ワクチンの確保状況 出典:財務省「社会保障」財政制度等審議会財政制度分科会2022年4月13日会合配布資料

この表は、財政制度等審議会の会合での配布資料の9ページにある。

これをみると、2021年度までに2.4兆円もの予算を費やして、8億8200万回分の新型コロナワクチンを確保したことがわかる。

これを基に単純計算すると、ワクチン1回当たり約2721円となる。この金額は、表の中にも書いてあるように、ワクチン購入費用だけでなく、流通費用も含まれている。

ただし、この約2721円は、前掲配布資料の中には、一切記されていない。筆者が単純に予算額をワクチンの確保回数で割った金額である。また、予算ベースなので、決算段階では金額に異動が生じうる。

ワクチン1回当たりの費用は、こうして求められたのだが、実はそれだけではない。それ以外にもワクチン接種には費用がかかっている。まず思い起こすのは、ワクチンの打ち手にかかる費用である。それは、上記には含まれていない。だから、ワクチン1回当たり約2721円では収まらない。

同配布資料には、そうした費用についてもいくらかかったかが記されている。では、これらの費用を合わせると、新型コロナワクチン1回当たりの費用はいくらになるのか。その資料によると、それは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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