泥沼化の函館本線(山線)存廃問題 高校生の「利用者多い山線存続再考を」という新聞投書が話題に!
北海道新幹線の札幌延伸開業にともなってJR北海道からの経営分離が確定している函館本線の函館―長万部―小樽間のうち、長万部―小樽間については北海道庁が主導する密室の並行在来線協議会において廃線ありきの協議が積み重ねられ2022年3月に強引に廃止の方針が決定された。
しかし、その後バスドライバー不足が表面化し、地元のバス会社から鉄道代替バスの引き受けができないとして2023年5月に開催された後志ブロック会議を最後に協議が中断したままの異常事態が続いている。こうした中で、2024年6月24日に開かれた余市町の定例町議会一般質問では、斉藤啓輔町長は並行在来線のJR函館本線余市―小樽間について「バス転換合意は迅速かつ大量輸送の確保が前提。それが崩れる場合は合意を撤回する」と答弁した一方で、小樽市長から「予約制乗り合いのデマンド交通などほかの交通手段で補えるか議論することになる」と驚きの発言が飛び出し、倶知安町は新幹線新駅への整備に支障することから並行在来線の2025年での早期廃止を主張するなど、地域で一体となって新幹線の経済効果をどう波及させるのかという前向きな議論が行われる気配はまったくない。
さらに、当初、2030年度末に予定していた札幌延伸開業は、トンネル工事の大幅な遅れに開業時期は未定となった。北海道知事の鈴木直道氏は定例記者会見の場で北海道新幹線の開業遅れについては感情的な口調で遺憾の意を表明しているが、泥沼化している並行在来線問題には全く興味を示しておらず、北海道庁は地域発展のために市町村と協力しながら地方創生をどう進めていくのかを議論するという、広域行政の基本的な役割すら果たせてはいない。
こうした中で、北海道三笠市在住の高校生・高久翔太郎さんが「利用者多い山線存続再考を」と北海道新聞に行った投書が話題となっている。高久さんは投書の中で「鉄道と同程度の利便性が確保できないのであれば、もう一度バス転換の是非について再考し、可能であれば第三セクターなどの形でも在来線を存続させるべき」「『廃止ありき』ではなく、山線存続を前提とした前向きな議論への方向転換が必要」と述べている。
高久さんに投書への思いについて話を聞いたところ、「私は小学生の頃から鉄道がとても好きで、北海道の在来線が次々と廃線になってしまうことをとても寂しく思っていた。そんな中で新幹線の延伸に伴って通勤通学や観光でとても重要な山線も廃止が前提の議論の対象になってしまったので、自分の思いを自分の中だけで留めることなく伝えたいという考えが強くなり今回の投書に至った」と話してくれた。
(了)