地球内部の外核で「ドーナツ状の新構造」を発見!
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「地球の外核で未知の構造を発見!?」というテーマで動画をお送りしていきます。
オーストラリア国立大学の研究者チームは、地球内部の外核に未知の構造を発見したと、2024年9月に研究成果を公表しました。
本記事ではまず地球の内部構造についておさらいし、その後新発見の内容を解説していきます。
●地球の内部構造
地球の内部では、異なる物質や状態からなる球状の層が幾重にも重なった構造となっています。
地表から近い順に、数十kmの深さまでは「地殻」が存在しています。
そして地殻の下から、地表から2900kmの深さまでは、固体の岩石から成る「マントル」と呼ばれる層が、さらに地表から深さ2900km~5100kmの地点までは、液体の鉄が主成分である「外核」と呼ばれる層が存在します。
そして地表から5100kmより深い最深部には、固体の鉄が主成分である「内核」と呼ばれる層が存在します。
この内核だけでも月に匹敵する大きさを持つ、超巨大な鉄の塊です。
内核における環境は想像を絶するもので、温度は5000度程度と太陽表面に匹敵し、さらに圧力は地表の364万倍もあると推定されています。
○地球内部の情報を得る方法
人類は、地球全体から見ればほんの薄い表層に過ぎない地殻の半分すら掘り進めたことがありません。
そのためこれらの地球内部の構造を直接観測したわけではありません。
その代わり人類は、地球内部の構造を知るために「地震波」を用いています。
地表付近の様々な場所で発生した地震波が地球内部に伝わり、再び地表で観測されるまでの時間を計測することで、地表からの深度ごとの地震波の伝わり方がわかります。
表示中の画像では、地表からの深度ごとの地震波の進む速度を示しています。
深度ごとに物質の構成や密度が異なるので、地震波の進む速度も異なっています。
このグラフの横軸は地震波の伝達速度、縦軸は深度です。
また地震波には縦波のP波と横波のS波がありますが、P波が黒、S波が灰色の線で示されています。
よく見ると、特に深度2900km地点や5100km地点など、地震波の伝達速度が急激に変化する場所がいくつか存在します。
これは構成する物質や状態が急激に変化する場所、つまり先述の層の境目であることを示しています。
このような情報から、先述した地球内部構造と範囲が理解できます。
またS波は固体にのみ伝わりますが、外核はS波が伝わらないため、液体とみられています。
●ドーナツ型の新構造を発見!
オーストラリア国立大学の研究者チームは、地球内部の外核に未知の構造を発見したと、2024年9月に研究成果を公表しました。
従来の地震波の分析では、地震発生後の1時間程度で世界中を伝わる初期の振動を分析していました。
一方で今回の研究では、そのような主要な振動が終わった後に観測される「コーダ波」という振動を多数分析しました。
このような分析の結果、地球の極付近の地震波よりも赤道付近の地震波の方が進みが遅いことを確認しました。
さらに詳細を調べていくと、外核の中でも赤道に沿ったドーナツ型の領域に、地震波の進みが遅い領域(以下新構造)が存在していることを確認したのです。
○新構造の特性
新構造は外核の一部ですが、外核の中でもマントル側の浅い部分に存在し、マントルと外核の境界から数百kmの深さにまで続いている可能性があります。
新構造は、「軽い元素の比率が相対的に高い領域」である可能性が高いと考えられています。
軽元素の比率が相対的に高ければ、地震波の進みが遅いことと、形成プロセスも上手く説明できます。
外核は非常に高温ですが、その中でも温度差があり、内核に近い深い部分ほど熱く、マントルに近い浅い部分ほど相対的に冷たくなります。
この温度差が外核内の「対流」を生んでいます。
軽元素は地球の自転の影響を受けつつ浮力で浮くため、外核内でも赤道に沿ったマントル側のドーナツ状に堆積していきます。
さらに新構造は地球の磁場とも関連がありそうです。
地球上の生命にとって、宇宙からやってくる太陽風や有害な放射線から身を守るために、地球の磁場は欠かせない存在です。
そんな磁場は外核の対流によって生じており、新構造が磁場形成にかかわっている可能性もあります。
これを理解することが磁場の理解に繋がるかもしれません。