宇宙に始まりはなく、過去が無限に続いていたと判明!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「宇宙に始まりはなく無限の過去が存在していた」というテーマで動画をお送りしていきます。
宇宙はビッグバンで始まったというのが現在の定説になっています。
しかしイギリス・リバプール大学の研究チームは、量子重力理論の1つである因果集合理論によって、宇宙に始まりはなく無限の過去が存在していたという結果を得ました。
少々難解ですが、今回はこちらを紹介します。
●宇宙の始まりと特異点
銀河がその距離に比例する速さで私たちから遠ざかっているという観測事実から、現在の宇宙は膨張しつつあるとされています。
宇宙が本当に膨張しているのなら、時間を過去にさかのぼると最終的には小さな一つの点になります。
その点は大きさがゼロなので、そこでの物質の密度は無限大になります。
このような点を特異点といい、物理理論が適用できません。
膨張する宇宙のモデルは一般相対性理論の解として導かれますが、特異点では重力の大きさが無限大に発散します。
特異点より過去は存在し得ないので、宇宙は異常な特異点から始まったとするしかありません。
宇宙の始まり以外にもブラックホールの中心で特異点が現れます。
重力によって空間が収縮するほとんどのケースで特異点が現れることがペンローズ博士とホーキング博士の「特異点定理」によって確認されています。
特異点定理によると、ビッグバン宇宙論では特異点を避けることはできません。
現在の物理学では特異点を扱える理論がないため、そこでは物理法則が破綻します。
物理学が通用しない特異点はいわば「神の領域」ということになります。
多くの物理学者は宇宙の始まりを神にゆだねるのをよしとしなかったので、特異点を回避する宇宙モデルの構築に取り組みました。
●量子重力理論
特異点で一般相対性理論がうまくいかない理由は、極めて小さなスケールの場所で非常に重力が大きくなっているからです。
一般相対性理論は宇宙全体のようなマクロな対象を扱う物理学ですが、宇宙自体がミクロな存在になるとこの理論は適用できなくなります。
そのため、ミクロな宇宙を記述するための新しい理論が必要となります。
そこで登場するのが、「量子重力理論」です。
量子重力理論は、重力の理論である一般相対性理論とミクロな世界を記述する物理理論である「量子力学」を統合させた理論です。
量子重力理論の具体例としては「超ひも理論」などが知られていますが、どれも完成には至っていません。
●因果集合理論
今回の研究では、量子重力理論の1つである「因果集合理論」を採用しています。
あまり耳にしたことのない理論かと思いますが、因果集合理論とはどのような理論でしょうか?
現在の物理学では空間や時間は、滑らかに連続したものと捉えています。
一般相対性理論でも時空を連続体として扱っています。
しかし、因果集合理論では時間や空間を連続的なものではなく、離散的であると考えます。
この理論では、時空は原子のような最小単位の粒から構成されていると解釈します。
つまり、時空には最小単位があるというのです。
物質を細かく分割していくと、原子になり、原子をさらに分解すると電子やクォークなどの素粒子になります。
素粒子は物質の最小単位です。
光のエネルギーについても光子という最小単位に分割できます。
素粒子を扱う量子力学では、エネルギーがとる値は連続的なものではなく、飛び飛びの不連続なものなのです。
これを「離散的」といいます。
これと同じように、連続的だと思われていた時空も実は不連続になっているというのです。
例えば、パソコンのディスプレイは、ドットや画素(ピクセル)と呼ばれる小さな点が縦横に並び、それぞれを点灯させることで画面を表示させています。
時空もそれと同じように最小単位が集まって成り立っていて、この最小単位より小さい距離や時間は存在しないということです。
因果集合理論では、特異点を完全に回避できます。なぜならこの理論では時空の大きさがゼロにならないからです。
膨張している宇宙の時間を過去にさかのぼっていっても、宇宙の大きさは有限の大きさに留まり、ゼロになることはありません。
ビッグバンで特異点に遭遇することが無いので、ビッグバンより過去も計算可能になります。
ちなみに上の画像の図では重力のグラフが階段状になっていますが、これは微小な時間を拡大して描いているためです。
日常的な時間のスケールでは一般相対性理論の時と同様に滑らかにつながって見えます。
因果集合理論では時空を原因と結果の関係(因果関係)で結ばれた出来事の集合と考えます。
原因と結果の連鎖から時間の流れが生まれるのです。
そこで、研究チームは、そもそも因果集合に始まりが必要かどうかを調べてみました。
その結果、彼らの研究では、因果集合は過去に向かって無限に続く可能性があることが分かりました。
ある事象の前には常に原因となる事象がある状態となり、ビッグバンという宇宙の始まりは必要とされないのです。
彼らの理論によれば、私たちがビッグバンと捉えているものは、この常に存在する因果集合の連鎖にある特定の瞬間に過ぎず、真の始まりではなかった可能性があるとのことです。
ただし、因果集合理論をもってしても、ビッグバンより前の宇宙がどのようになっていたのかははっきりとは分かりません。
時空の最小単位からなる原子的な原初の宇宙が無限の過去からずっと存在していたのかもしれません。
あるいは、宇宙は過去から未来に渡って膨張・収縮を繰り返しているのかもしれません。
時間や空間に最小単位があるというのは驚きです。
時間というのは、宇宙にとって究極の深遠なテーマなんですね。