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新潟・糸魚川大火と気象 最大瞬間風速24.2メートルを記録

森田正光気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長
12月22日 午前9時の天気図
12月22日 午前9時の天気図

新潟県糸魚川市の火災は現在も延焼中で、消火活動が難航しているようです。

今回の火災の直接の原因は今後の調査を待たなければなりませんが、この火災が時間とともにどんどん広がっていったのは、気象条件が関わっているといって間違いないでしょう。

糸魚川市で火災が発生したのは午前10時30分頃とのことですが、糸魚川のアメダスによると明け方から風が強まり、糸魚川の最大風速は午前10時18分に南風14.2メートルを観測しました。

また、最大瞬間風速は午後0時09分に南風24.2メートルを記録し、冬期間としては観測史上5位の強風でした。(2009年~)

この火災をみて真っ先に頭に浮かんだのが、1976(昭51)年10月29日に発生した山形県の「酒田大火」です。

「酒田大火」とは、日本海を進む低気圧の影響で西よりの強い風が吹き、これによって火災範囲が広がり、また大量の飛び火や火の粉で消火活動が進まず、酒田市中心部の商店街を中心に22万5千平方メートルを焼失した火災を指します。この火災により、消防長1名が殉職されました。

この時も、日本海の低気圧に向かって西風が強まり、酒田市では26.6メートルの西南西の風が吹きました。

当時の天気図 原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」
当時の天気図 原典:気象庁「天気図」、加工:国立情報学研究所「デジタル台風」

酒田大火に限らず、戦後の大火災を調べると、日本海に低気圧があることが多く、低気圧に向かって吹く強風により火が煽られたり、乾燥した空気が中部山岳を吹き降りる南風によるフェーン現象で、火災が多く発生していることがわかります。

火災はまだ延焼中ですし、その他の地域でも高温と強風、乾燥と火災がいつ起きてもおかしくない条件がそろっていますから、引き続き警戒をするようお願いいたします。

気象解説者/気象予報士/ウェザーマップ会長

1950年名古屋市生まれ。日本気象協会に入り、東海本部、東京本部勤務を経て41歳で独立、フリーのお天気キャスターとなる。1992年、民間気象会社ウェザーマップを設立。テレビやラジオでの気象解説のほか講演活動、執筆などを行っている。天気と社会現象の関わりについて、見聞きしたこと、思うことを述べていきたい。2017年8月『天気のしくみ ―雲のでき方からオーロラの正体まで― 』(共立出版)という本を出版しました。

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