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地震発生直後にpovo2.0が無料コードを配布。KDDIは「緊急的な措置」

山口健太ITジャーナリスト
povo2.0が24時間使い放題の無料コードを配布(筆者撮影)

3月16日に発生した「福島県沖を震源とする地震」に対して、povo2.0が「24時間データ使い放題」の無料コードを配布。各キャリアが緊急の対策に取り組む中でも、特に目立った動きとして注目を集めました。

地震が発生したのは3月16日の23時36分頃。そこから約45分後、翌17日0時21分には、povo2.0の公式Twitterアカウントが利用者向けにプロモコードの配布を始めました。

KDDIの新料金プランであるpovo2.0は、基本料金は0円で、そこにデータ容量やサービスの「トッピング」を自由に組み合わせて使えるのが特徴です。最近はキャンペーンなどで頻繁にデータ容量などのプロモコードを配布しています。

今回、配布したコードは24時間データが使い放題になるというもの。通常であれば1回あたり税込330円の料金がかかりますが、これを無料で配布したというわけです。コードの開始期限は3月17日23時59分となっています。

povo2.0のアプリから「プロモコード」を入力すると、すぐに有効になる(アプリ画面より筆者作成)
povo2.0のアプリから「プロモコード」を入力すると、すぐに有効になる(アプリ画面より筆者作成)

地震発生からわずか45分でコードを配布した経緯について、KDDIは「夜間かつ広範囲な地震であり、被害状況が不明ということもあったことから、緊急的な措置として実施しました」と説明しています。KDDIとしても前例のない緊急対応だったようです。

povo2.0は基本無料であり、180日に1回はトッピング購入などが必要という条件はあるものの、予備回線としても便利な存在です。povo2.0はKDDIのau回線を用いていることから、au回線に障害が起きた場合は使えないと考えられるものの、他社の通信障害ならカバーできそうです。

povo自身も公式チャンネルで「2枚目SIM」としての用途をアピールしていましたが、今回の地震によって再び注目度が上がるかもしれません。

「2枚目SIM」としての用途を提案(povoのYouTubeチャンネルより)

無料のプロモコード以外にも、24時間のデータ使い放題を税込330円で追加できるのは安心感があります。いざというときの備えを確保しつつ、通常時はMVNOの小容量プランで節約を図るといった手も使えそうです。

難点だった「eSIM再発行」は改善予定あり

povo2.0のメリットの1つに「eSIM」があります。最近のiPhoneなどeSIM対応機種なら、物理的なSIMカードの発送を待つことなくオンラインだけで契約することもできます。しかしユーザーからは「eSIMの再発行」が不便との声がありました。

たとえばiPhoneから、最近対応したセルラー版のiPadに回線を移したい場合、物理的なSIMカードであれば入れ替えるだけで済みますが、eSIMの場合はWebサイトやアプリなどで再発行の手続きをして、新しい端末に設定することになります。

しかしpovo2.0の場合、eSIMの再発行はサポート窓口に問い合わせる必要があり、チャットによる本人確認や、身分証明書を手に持った自撮り写真のアップロードを求められます。筆者が3月上旬、平日の午前中に試した際には、申し込みから再発行までに(チャット後の待ち時間を含めて)全部で約1時間50分かかりました。

この点についてKDDIに確認したところ、アプリからのeSIMの再発行について「対応を予定している」との回答を得られました(回答があったのは今回の地震が発生する前です)。

eSIMの再発行はリモートで手続きができるため、悪用されないような対策をすることは必須ですが、それをクリアした上で簡単に再発行できるならば、利便性向上を期待できそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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