ドコモ通信障害「予備回線」で回避できたか
10月14日から15日にかけて発生したドコモの長時間に及ぶ通信障害では、予備の回線を用いることによる回避策が話題になりました。基本料金が無料のプランや「eSIM」を組み合わせることで複数回線を使う敷居が下がっていることにも注目です。
スマホを持っていることを前提にした社会では、「スマホがあれば便利」から「スマホがないと不便」に変わりつつあります。今回の通信障害を受けて、Yahoo!トピックスではUber Eats配達員の悲鳴や、「スマホ社会」のリスクを取り上げています。
外出中に携帯キャリアにつながらないときでも、コンビニなどの無料Wi-Fiを使えばスマホをネットにつなぐことはできます。しかし移動しながらスマホが使えることを前提にしたビジネスの場合、今回のような通信障害は死活問題になります。
そこで、いざというときに備えて予備の回線を用意しておくのはどうでしょうか。これまでは安価なMVNOを契約しても毎月数百円程度の負担は必要でしたが、最近ではKDDIの「povo2.0」や楽天モバイルのように毎月の基本料金が無料のプランがあります。
これらのプランは契約したまま完全に放置していると利用停止や解約になると規約で定められていますが、約半年(180日)に1度、povo2.0なら220円の有料サービスを購入、楽天モバイルなら音声やデータ通信を利用することで、問題なく維持できるようです。
また、スマホに2回線目を加えるときに便利なのが「eSIM」機能です。スマホを使うには電話番号などの契約情報が書き込まれたSIMカードを入れる必要がありますが、これを本体に内蔵してソフトウェア的に書き換え可能なeSIMを搭載した機種が増えています。
契約時のメリットとして、SIMカードの配送を待つ必要がありません。さらにオンライン本人確認(eKYC)と組み合わせることで、早ければ30分から1時間程度(ただしpovo2.0は夜間は非対応)で回線が開通します。2回線目を容易に追加できる手段として、覚えておいて損はないでしょう。
AndroidスマホのeSIM対応は進むか
eSIMを使うためにはキャリアと端末の両方が対応している必要があります。国内キャリアでは楽天モバイルが2020年4月に導入後、2021年に入って大手3社も対応を進め、遅れていた各社のメインブランドについてもソフトバンクが7月、auが8月、ドコモは9月にeSIMに対応しました。
eSIMに対応した端末はiPhone、グーグルのPixelシリーズ、楽天のオリジナル端末などがあります。その他のAndroidスマホは機種によって対応が分かれていますが、特にドコモでは冬モデル全機種がeSIMに非対応となるなど、キャリアによって温度差を感じます。
これまでドコモはタブレットやキッズ端末にeSIMを採用してきたものの、10月6日の新商品発表会では「eSIMは登録や操作がしづらいといった不便がある。これを改善しながら、お客様から求められれば提供を検討していきたい」(NTTドコモ プロダクト部長の安部成司氏)と、AndroidスマホのeSIM対応に慎重な姿勢を示していました。
その1週間後に大規模な通信障害が起きることはさすがに予期できなかったとはいえ、これまでのeSIMに対する慎重な姿勢は裏目に出たといえます。今回の障害を経て、ドコモの端末ラインナップにおけるeSIM対応がどう変わっていくか、今後の注目ポイントになりそうです。