アップル、メイシーズ、アマゾンとトランプ氏の闘い(あるいは大人げない一方的な言いがかり)
トランプ氏の発言に動く米国企業たち
グローバルに事業を展開する米国企業にとっては、トランプ氏の過激発言は迷惑でしかないかもしれません。トランプ氏は、不法移民だけではなく、移民そのものまで否定的な見解を示しています。もちろん氏のねらいは、多数の白人有権者を取り込むものでしょう。
ただ、たとえば、小売業であれば、移民であっても重要なお客様です。なかなか看過できません。
そのなかでもっとも動きが早かったのは、小売大手のメイシーズでした。
メイシーズは、トランプ氏のメキシコ移民にたいする発言に失望したとして、トランプ氏グループとの取引停止を発表しています。メイシーズでは、トランプ氏のメンズウェアラインを店頭販売しており、その中止を決断したものです。
まあ、トランプ氏のメンズウェアのラインナップを見る限り、いかにもアメリカっていう感じで、私の趣味ではありません。ただ、たしかにメキシコからの移民が、メイシーズに行ってトランプ氏の衣料が並んでいたら、良い気はしないでしょう。
トランプ氏の反応
トランプ氏も、負けてはいません。インスタグラムにメッセージを載せています。それによると、トランプ氏サイドも、やはりメイシーズのようなところとは付き合いたくもないそうです。
この子どものようなケンカ姿勢が人気なんでしょうか。
さらにトランプ氏は、自分のブランドが中国製であることを、かねてより問題視していたそうです(ほんとうかどうかはわかりません)。そこで、こう書いています。
それで、今後はアメリカ生産を検討していくそうです。
トランプ氏はアップルも看過しない
しかし、中国から米国へ、というスローガンは、まさに「Make America Great Again!」にもつながります。工場と雇用を海外から米国に引き戻すことを主張しているからです。さらにトランプ氏はアップルが、MacやiPhoneを米国で生産しないことに焦燥感を抱いているようです。
トランプ氏はアップルのCEOではないはずですが、「労働を米国に戻す。アップルのコンピュータとiPhoneの生産を中国ではなく、この地(米国)で開始させる」とまでおっしゃっています。
実現可能性を無視して、メッセージ色の強い内容を瀰漫させるとは、さすが元メディア王というべきでしょうか。
冷静な識者は「iPhoneの生産が戻っても、ほとんど意味がない。だって、iPhoneのアッセンブリコストは、総製造コストの3.6%にすぎない。それで強いアメリカが復活するの?(大意)」と意見しています。
アマゾンのジェフ・ベゾス氏は、ワシントン・ポストを有しています。そのジェフ・ベゾス氏にたいしても、反トランプの姿勢を明確にしているワシントン・ポストを暗に示し、「やっかいなことになるだろう(such problems)」と述べています。大統領になったら、訴訟してやる、ということでしょうか。
面白いひとか、あるいは、クレイジーか
トランプ氏はアップルの生産が中国であることから、不買運動も示唆しました。トランプ氏は、自身のツイッターで、スマホを二台持ちしていると語っています。サムスンとiPhoneです。
そして、アップルは、FBIのテロ捜査にも非協力的なことから、これからはサムスンを使うと発表しました。サムスンを使う方が、よっぽど海外の利益になると思うんですが……。
しかし、ほんとうにトランプ氏はサムスンを使い続けているのでしょうか。私が爆笑してしまったのが、次のURLで、さすがトランプ氏の使用スマホを調べ続けているひとがいるんですね。
笑ってしまったのですが、数日間はたしかにサムスンを使ってツイッターをつぶやいていたようです。しかし、すぐさま、ふたたびiPhoneを使っているようです。
ここまでくるとギャグというか、面白いおじさまである気もしてきます。
あ、いかんいかん、こういうところで、米国人が彼の戦略に籠絡されてしまうのかもしれませんね。