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ウイングの育成に貢献していない森保監督が、日本を代表するウインガーをウイングバックで使ったご都合主義

杉山茂樹スポーツライター
(写真:REX/アフロ)

 カタールW杯で三笘薫、伊東純也という日本を代表するウインガーをウイングバックとして起用した森保采配に、筆者は少なからず憤りを覚えたものだ。サッカーを大局的に見た時、それはご都合主義でおいしいところ取りの采配に映った。

 ウイングバックとウイングは、似て非なるポジションである。ウイングバックとより近しい関係にあるのはサイドバック(SB)だ。

 あるチームが4バックから3バックに布陣を変えたとき、ウイングバックを務めるのは、SBとしてプレーしていた選手であることが多い。ウイングが1列下がってウイングバックとして構えるケースより、SBがポジションを上げる方がはるかにスムーズな移動に見える。

 ウイングバックはアタッカー色よりディフェンダー色の方が強いポジションであるからだ。アタッカーとしての資質を備えた選手には、ウイングバックではなくウイングでプレーさせたくなる。

 先日観戦した浦和レッズ対コンサドーレ札幌戦で言えば、札幌の右ウイングバック、金子拓郎にそうした思いを抱かせた。逆サイドのウイングバック菅大輝は、4バックならばSBに収まるタイプだが、金子はウイングだ。

 しかし、浦和戦で彼の大きな武器である深々とした鋭い切り返しを披露したのは1度だけだった。浦和のように両ウイングが高い位置で構える4-2-3-1でプレーしていたら、金子はアタッカーとしての能力をもう2、3度発揮していたに違いない。選手としての評価も高まっていた可能性がある。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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