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森保Jより問題なのはJリーグのレベルダウン。日本サッカーは空洞化を起こしている

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 Jリーグは7節を終了した段階でヴィッセル神戸が首位の座に就いている。昨季は最終順位こそ13位だったが、一時は降格圏内である17位まで順位を下げていた。そこから大きくジャンプアップした状態にある。

 対照的な姿を描いているのが昨季の準優勝チーム、川崎フロンターレだ。2017年以降の6シーズンで4度優勝を飾った圧倒的強者ながら、現在の順位は13位。これもまた珍しい話である。海外のリーグではまず起きることがない現象だ。

 昨季の優勝を含め過去6シーズンで2度優勝を飾り、川崎とともに2強と言われる横浜F・マリノスが現在5位。逆に昨季14位に終わったアビスパ福岡が3位タイに食い込むなど、Jリーグはまさに混沌とした状況にある。

 神戸が横浜FMや川崎を超えるサッカーを凌駕するサッカーを展開しているのなら問題はない。各チームが高い次元で切磋琢磨した末の混沌ならば、面白いと前向きに受け取ることができる。しかし実際の理由は地盤沈下だ。Jリーグがレベルダウンした結果だと筆者は見る。

 象徴的なのは各チームの選手の補強だ。横浜FMは昨季JリーグでMVPに輝いた岩田智輝と2019シーズンの得点王、仲川輝人、さらには在籍した2021、2022の2シーズンで計21ゴールを奪ったレオ・セアラの大物選手3人を放出。代わりに岩田の代役として上島拓巳、仲川の代役として井上健太、そして杉本健勇をそれぞれ柏レイソル、大分トリニータ、ジュビロ磐田から獲得した。

 放出した選手の方が確実にワンランク上だ。補強(補なって強くする)と呼ぶには頼りないむしろ戦力ダウンと言われても仕方がない顔ぶれである。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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