三大和牛の神戸ビーフと松阪牛はどう違う? ふたつを食べ比べできる希少な機会
鉄板焼は高級な業態
鉄板焼は、日本料理の中でも鮨や天ぷらと並んで高級な業態です。カウンター越しに焼き手が付いて目の前で焼いてくれること、そして、高級食材である和牛(主に黒毛和牛)が使われていることから、目安としてランチで1万円以上、ディナーで2万円以上と高い値段になっています。
特にブランドの黒毛和牛が提供されている場合にはより高価に。世界でも人気の神戸ビーフや松阪牛であれば、非常に高くなることは明白です。
そのような状況にあって、お得で希少なコースが登場しました。それは、ホテル インターコンチネンタル 東京ベイの「鉄板焼 匠」で行われている「神戸牛と松阪牛の饗宴コース」(平日 20,350円、土日祝 21,450円、共に税込・サ別)です。
神戸ビーフと松阪牛
神戸肉および神戸ビーフとは、但馬牛のうち、未経産牛もしくは去勢牛であり、枝肉格付等が特定のレベルに該当するもの。KOBE BEEF、神戸牛(こうべぎゅう、こうべうし)と表記することも可能です。
・「神戸肉・神戸ビーフ」の定義(神戸ビーフ・神戸肉流通推進協議会)
松阪牛は黒毛和種の未経産牛で、松阪牛個体識別管理システムに登録されていること、松阪牛生産区域での肥育期間が最長かつ最終であることが必要です。
「神戸牛と松阪牛の饗宴コース」は三大和牛のうち2つの黒毛和牛を体験できる貴重なコースでありながらも値段は2万円前半と、手が届きやすい価格帯となっています。
「神戸牛と松阪牛の饗宴コース」のメニュー
「匠」は珍しくコンセプトがしっかりとした鉄板焼店です。ヘルシー(健康)、ビューティ(美しさ)、フレッシュ(新鮮)をもとに、オリーブオイルで調理するという特徴があります。
外資系ホテルで豊富な経験を積んできた馬原雄一氏が2018年9月から料理長を務めており、見応えのあるパフォーマンスやプレゼンテーションでゲストを魅了しています。
その馬原氏が腕をふるう「神戸牛と松阪牛の饗宴コース」は次の通り。
神戸牛と松阪牛の饗宴コース
・乾杯酒
グラスシャンパン(1名様につきグラス1杯)
※ノンアルコールスパークリングワインに変更可能
・アミューズ
ファーストディッシュ鉄板アミューズ「焼きトマト」
・前菜
特製フレッシュサラダ
・焼き野菜
本日の焼き野菜
・海鮮メニュー(オプション)
・肉料理
神戸牛ロース50gと松阪牛ロース50gの食べ比べ
・ご飯
匠特製ガーリックライス
・汁物
味噌汁と香の物
・デザート
「アトリエ・デセール」より パティシエ特製デザート
・お飲物
コーヒー 又は 紅茶
シグネチャーとなっている「焼きトマト」にはじまり、神戸ロースと松阪牛ロースを食べ比べた後に、特製ガーリックライスが味わえます。最後は隣の「ニューヨークラウンジ」に転卓して、特製デザートをゆっくり楽しめるという流れです。
では、それぞれのメニューを詳しく紹介していきましょう。
乾杯酒
乾杯酒であるシャンパーニュも付いているのがお得です。当日提供されたのはシャルドネ100%でキリっとした「ニコラ・フィアット ブラン・ド・ブラン インスパイアド・バイ・ホクサイ」。葛飾北斎の代表作である富嶽三十六景「神奈川沖浪裏」をモチーフにした日本限定ボトルです。次に紹介する「焼きトマト」の甘味や酸味に寄り添う味わい。ノンアルコールスパークリングワインに変更できるので、お酒が飲めない方も安心です。
ファーストディッシュ鉄板アミューズ「焼きトマト」
同店のオープン以来、シグネチャーとなっている一品。栃木県の甘味の強い桃太郎トマトを目の前で華麗にフランベし、香りが付けられます。キプロスのレモン塩、青森のニンニク、千葉県のルッコラを添え、イタリアの亜麻仁オイルを仕上げにかけて。トマトの甘味とジューシーさを堪能できる一品です。
海鮮メニュー
このコースでは、海鮮メニューはオプションになっており、追加でオーダーできます。本日の鮮魚(4,400円、税込・サ別)は愛媛県のマダイ(3月1日から)。
マダイは厚みがあって旨味がたっぷりです。桜風味の豆乳ソースに橙酢などでつくった自家製ポン酢を入れていき、少しずつ濃度をつけて、ふんわりとした豆腐をつくります。マダイのしっかりとした食味と、爽やかなソースがよいコントラストです。八丈島のアシタバが添えられ、仕上げにカラフルなアラレ。桜花漬けがのせられた八種類の穀物のパンのチーズトーストもよい変化です。
焼き野菜
野菜も充実しています。通常の鉄板焼では、3種類から5種類くらいですが、「匠」では季節に合わせて6~7種類も提供されています。黒豆モヤシ、徳島県の小さいシイタケ「チイタケ」、アボカド、房総半島の菜の花、三浦半島のレディダイコン、カボチャ、ナスとバラエティ豊かです。
神戸牛ロース50gと松阪牛ロース50gの食べ比べ
メインディッシュは神戸ビーフと松阪牛のロース肉。最初にまろやかな味わいの松阪牛、次に脂のしっかりとした神戸ビーフが提供されました。
どちらともB.M.S.(ビーフ・マーブリング・スタンダード=脂肪交雑)が6から7と、脂と赤身のバランスがよいです。270度の鉄板でしっかりと焼かれており、表面がカリッとして、中はやわらかくてジューシー。
「匠」オープン時から提供されているオリジナルの特製コラーゲン入りジュレでいただきます。3種の特製コラーゲン入りジュレは、タマネギ、自家製ポン酢、ゴマと黒胡椒。ワサビ、金沢の醤油、塩はプレーン、抹茶、ショウガの合わせ塩が添えられます。様々なコンディションに合わせて食べてみると楽しいでしょう。
匠特製ガーリックライス
鉄板焼の醍醐味のひとつであるガーリックライスは、おこげをつくって表面をカリッとさせています。味噌汁は大分県中津の合わせ味噌、香の物は季節に合わせた桜香るダイコン漬け。
「アトリエ・デセール」より パティシエ特製デザート
最後のデザートはゴージャスで居心地のよい「ニューヨークラウンジ」に移動してから楽しめます。取材時の皿盛りデザートは、アイスケーキのセミフレッドと桜のジュレでした。桜の風味が香り高く、さっぱりとした食感で、口の中をクリアにしてくれます。
色々な和牛を食べてもらいたい
神戸ビーフも松阪牛も味わえるという非常に貴重なコースでしたが、料理長の馬原氏は、次のように振り返ります。
「コロナ禍の中でも、お客様においしい和牛を色々と食べていただきたいと考えました。そこで、昨年の同じ時期に神戸ビーフと松阪牛の食べ比べコースをご提供したら、とても好評いただき、今年も開催することになりました」
日本を代表する黒毛和牛を食べ比べできることに加えて、「焼きトマト」のような印象に残るパフォーマンスを見たり、他にはないオリジナルのつけジュレも味わえたりします。最後のデザートは、優雅なラウンジに移動してゆっくりとアシェットデセール(皿盛りのデザート)を楽しめるのも魅力的です。
三大和牛のうち2つを同時に体験できることはあまりないので、この機会を逃さず、是非とも訪れてみてください。