台風17号発生も、始まった日本の秋の土用は青魚(サンマ)に大根
台風17号が発生
令和2年(2020年)10月20日9時に、フィリピンのすぐ東の海上で台風17号が発生しました。
台風の統計が作られている昭和26年(1951年)以降、初めて7月の発生数がゼロとなるなど、7月までは台風の発生が少なかったのですが、8月以降は、ほぼ平年並みに発生しています(表)。
台風17号は、フィリピンを通過して南シナ海に入り、南シナ海で発達する見込みですが、日本へは直接の影響はない見込みです(図1)。
少し古い資料ですが、10月の平均経路を見ると、北緯15度位を西進するものがほとんどで、台風17号の進路予報のように、フィリピンを通過し、インドシナ半島に上陸します(図2)。
ただ、10月の台風でも、フィリピンの東海上で発生した台風の一部は北上して日本の南海上に接近してくるものもあります。
令和2年(2020年)の台風15号は10月11日3時に南シナ海西部で、台風16号は10月12日15時に南シナ海東部(フィリピンの西)で発生しています。
そして、台風17号の発生場所がフィリピンのすぐ東の海上と、発生場所が次第に東へ移動しています。
このまま、台風の発生場所が東へ移動してきたら、次の台風発生は、一部の台風が北上してくるフィリピンの東海上となりますので、令和2年(2020年)の台風シーズンが完全に終わったわけではありません。
ただ、日本の南海上の海面水温は、台風が発生・発達の目安となる27度を下回っていますので、よほど発達した台風でないと、台風としての上陸はなさそうです。
事実上、令和2年(2020年)の台風上陸数は0となりそうです。
秋の天気
日本の南海上では夏がそろそろ終わりですが、日本列島は秋本番です。
殺人的といわれた令和2年(2020年)の猛暑も、最高気温が35度以上という猛暑日は9月上旬になると、全国で気温を観測している921地点の20パーセント以下となり、9月中旬になると、最高気温が30度以上という真夏日も20パーセント以下となっています(図3)。
そして、10月中旬になると、最高気温が25度以上という夏日も、5パーセント程度にまで減っています。
残暑が長引いた割には、気温は順調に低下しており、短い秋になりそうな雰囲気です。
東京の最高気温と最低気温の推移をみても、10月に入ると平年より高い日と平年より低い日が交互に現れながら気温が低下しています(図4)。
そして、10月下旬以降は、最高気温は平年よりやや高めに、最低気温はほぼ平年並みで推移しており、冬に向かって季節は順調に進んでいます。
秋の土用の食べ物
季節の変わり目である土用は、春夏秋冬の4つあり、おのおのの土用の期間には、昔から、食べると良いとされる食材がいろいろといわれてきました。
一番有名なのは、夏の土用の丑(うし)の日に食べる「うなぎ」です。
夏の土用の「丑の日」には、「う」のつく食べ物や黒い食べ物を食べると良いとされ、その食べ物の代表が「うなぎ」です。
「うなぎ」だけでなく、「梅干し」、「うどん」、「瓜(胡瓜:キュウリ・西瓜:スイカ・南瓜:カボチャ)」も夏の土用の食べ物です。
語呂合わせのようですが、夏の土用の頃は体力が落ち食欲がなくなることが多いので、栄養があるものや喉越しの良いもの、体を冷やす利尿作用があるものが入っていますので、先人の知恵の集積のような気がします。
令和2年(2020年)の、秋の土用は、10月20日からはじまり、立冬の前日である11月6日まで続きます。
秋の土用は、辰(たつ)の日に「た」のつく食べ物や青い食べ物を食べると良いとされています。
青魚(サンマ)、大根、玉ねぎが代表となりますが、夏の疲れが出やすいので疲れを取り、冬に備えて体力をつける食材のような気がします。
ただ、秋の土用に食べる「た」のつく食べ物である大根と、青い食べ物であるサンマも組み合わせは、令和2年(2020年)に限れば、サンマの記録的な不漁で高値の花(高嶺の花)となっています。
令和2年(2020年)の秋の土用の辰の日は、10月25日と11月6日です。
この日は奮発してサンマを食するか、サンマ以外の「た」のつく食べ物や青い食べ物を探して食するか、いずれにしても日本人の季節をすごす知恵を感じてみませんか。
ちなみに、冬の土用は未(ひつじ)の日に「ひ」のつく食べ物や赤い食べ物を、春の土用は戌(いぬ)の日に「い」のつく食べ物や白い食べ物となっています。
タイトル画像、図1の出典:ウェザーマップ提供。
図2の出典:饒村曜(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計(第2報)進行速度、研究時報、気象庁。
図3、図4の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。
表の出典:気象庁ホームページ。