台風の統計が昭和26年からの理由
気象庁の台風の統計は、すべて昭和26年(1951年)からとなっていますが、これは、20世紀の後半の最初の年という理由だけではありません。
台風の現在の定義は昭和28年から
台風は、北西太平洋の熱帯低気圧のうち、最大風速が毎秒17.2メートル以上に発達したものをいいます。
昭和27年4月28日に講和条約が発効すると、それまでアメリカ極東空軍指令部によって細部まで管理されていた気象事業が、中央気象台(現在の気象庁)が、自主的に行えるようになります。
これを機に、台風作業が検討され、翌28年5月29日に「台風に関する予報業務取扱細則」が作られています。
この細則により、それまでの外国の女性名だった台風の呼び名をやめ、番号で表すことになります。
また、台風の分類を表のように変えています。
このようなことから、昭和28年以前の台風と称している資料については、取り扱いに注意が必要です。
気象庁の台風のデータベースは昭和26年から
台風の現在の定義は、昭和28年からですが、気象庁の台風に関するデータベースは、昭和26年から作られています。
これは、昭和26年と27年については、現在の台風の定義が事実上使えるからです。
昭和26年と27年の台風の定義
台風の定義は、表のような変遷をしていますが、昭和26年と昭和27年については、当時の資料にある「熱帯低気圧」を「台風」と読み替えるだけで、現在の基準である17.2メートル毎秒以上(33.5ノット以上)になります。
昭和25年以前では、こうはゆきません。
昭和23~25年については、定義の差が僅かですが、昭和22年以前については大きな定義の差があります。
それにもまして、台風に関する観測データの質の問題があります。米軍による飛行機観測のデータが中央気象台(現在の気象庁)で使えるようになったのが昭和24年からです。
私が生まれた昭和26年は、20世紀後半の最初の年であると同時に、国際協力で観測データが集められ、その時のベストの技術で積み重ねられるようになった、平和な社会が定着した年と言えるでしょう。
このようなことから、気象庁の台風に関するデータベースは、昭和26年からとなっているのです。
そして、昭和26年より前には、なかなか遡れないのです。