8.3%の依存で大麻を「おおむね健康」と報じ、2.2%の依存でギャンブルを「大問題」と報じるメディア
以下、BuzzFeedによる報。
調査実施者の一人となった松本俊彦さん(国立精神・神経医療研究センターの薬物依存研究部部長)はこの調査によって「大麻使用者が概ね健康に暮らせていることをデータで示した」と胸をはって仰っているのですが、私の立場からすると「いやいやいやいや」と申し上げるしかないわけです。以下は今年の最新のギャンブル依存に関連する調査を報じた朝日新聞から。
全国成人中2.2%のギャンブル依存の「疑いがある者」が居るという調査結果です。この数字は近年行われている調査において大体安定して出てくる数字でありますが、我々カジノ業界はこの数字をもって長年に亘って「ギャンブル依存がー」とあらゆるメディアから総叩きにあっているわけです。
ただし、この両依存率を比較するには少し数字の処理が必要。冒頭の大麻に関する調査では
と母数を(大麻)経験者もしくは現在使用している人においているのに対し、後段でご紹介した「ギャンブル依存の疑い」は分母を日本の成人人口においています。なので、これを現役のギャンブラー(間近一年のギャンブル経験者)に置き直すと、日本人の間近一年のギャンブル経験率が男性45%、女性23%ですから、全現役ギャンブラー中5.6%が依存の「疑い」ということになります。こうやって同一スケール上で比較しても現役の利用者の9.5%が依存状態にあるとされる大麻と比べると、ギャンブルの方がかなり「マシ」な状態にあることが判ります。
(※もっというと、ギャンブル依存の調査で使われたSGOS判定は「依存の疑いの有る者」を抽出するスクリーニング調査で、実際の依存症と呼べる状態にある者は更に比率が低くなります)
冒頭のBuzzFeedさんはこの大麻使用に関する調査結果を「裏を返せば、9割以上の人は依存症にはならず使用している」などとして「おおむね健康」などと見出しを付けて報じているわけですが、「ギャンブルは依存問題が起こるんだー」の大合唱で散々各メディアから叩かれ続けてきた我々カジノ業界人としてはナンダカナアと思わざるを得ないわけです。
ちなみに、当該大麻に関する記事を書いたBuzzFeedの記者・岩永直子さんは、実は我が国のカジノ合法化論議に際しては同BuzzFeedに以下のような記事を寄せていました。以下、2019年6月の同メディアによる報。
当時のBuzzFeedは、立教大学で予定されていたカジノをテーマとしたシンポジウムの開催に際し「立教はカジノに魂を売るな」などとセンセーショナルな見出しで報じていたわけですが、その反対論の主軸をギャンブル依存問題において記事を展開させたのは他ならぬ岩永直子さんなのであって、今回彼女が執筆した「大麻の依存症は8.3%、日本初の大規模調査で判明 おおむね健康に暮らせている」の報を見るにつけて、「そこは大麻に魂を売るな」じゃないとダメなんじゃないですかね?と私としては皮肉の一つも言いたくなるわけです。