せき止めが手に入りにくいときの家庭での対処法
急激に気温と湿度が低下し、インフルエンザの流行が続いています。さらに、追い打ちをかけるように、せき止めの流通が滞っており、おくすりが手に入りにくい状態です。自宅でできる対策はあるでしょうか?
せき止めの流通に懸念
メジコン(デキストロメトルファン)やアスベリン(チペピジン)などのせき止めが、現在なかなか手に入りにくくなっています。
これは、感染が流行しているからというよりも、医薬品メーカーにおける構造的な問題が原因です。
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厚労省がジェネリック医薬品を推進し薬価を引き下げている裏で、メーカーが利益の出ない薬剤を作り続けられなくなり、不適切な製造による行政処分を受け、当該薬剤が不足するという事態に陥っているのです。
対策①:加湿・マスク
冬になると気温と湿度が低下するため、新型コロナやインフルエンザなどの呼吸器感染症や、ぜんそくなどの症状が悪くなりがちです。
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湯気がモクモクとしている風呂に入るとせきがピタっと治まった経験はないでしょうか。湿度が低い外出時でも、マスクを着用しているほうが咽頭~肺の湿度は保ちやすく、せきが出にくくなるとされています。
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そのため、室内の湿度については40~60%を維持するようにしましょう。
加湿器の水を放置すると、中に繁殖する病原微生物によって起こる「加湿器肺」のリスクが高くなるので注意してください。
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対策②:ハチミツなどの甘いもの
味覚のうち、甘味は咳や痛みを抑えるはたらきがあるとされています(1)。
特にお子さんの場合は、せき止め以外の方法としてスプーン1杯のハチミツなどを検討ください。ただし、1歳未満の子どもにはハチミツを与えることでボツリヌス症を起こすリスクがあるため、与えないよう注意してください。
成人に対しては、ハチミツだけでなくコーヒーが有効とする研究もあります。
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まとめ
現在せき止めが手に入りにくくなっています。そのため、ご家庭で可能なせきの対処法として、加湿、マスク、ハチミツなどの甘いものを検討してみてもよいかもしれません。
軽いせきであれば様子見で問題ありませんが、夜眠りにくいなど強いせきの場合は、医療機関を受診ください。
(参考)
(1) T Sallam YT, et al. Pulm Pharmacol Ther. 2012 Jun; 25(3): 236–241.