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今季ワーストの9連敗…。欧州代表で「ヤクルト村上斬り」のバングルプは来日初黒星【週刊くふうハヤテ】

菊田康彦フリーランスライター
くふうハヤテの新外国人、バングルプ(2024年7月18日筆者撮影)

 今シーズンからプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグに参加している新球団、くふうハヤテベンチャーズ静岡。先週は7月26日から28日にかけて、福岡ソフトバンクホークスの二軍ホームグラウンド、タマホーム スタジアム筑後で、シーズン後半戦最初の3連戦を行なった。

対ソフトバンク:26日●1対5 27日●0対3 28日●1対11

 26日の試合はそこまでウエスタン・リーグ4位タイの4勝を挙げていた先発の二宮衣沙貴(にのみや・いさき、BCリーグ・茨城アストロプラネッツ)が序盤から失点を重ね、劣勢の展開に。6回裏には読売ジャイアンツ(育成)から派遣された木下幹也(きのした・もとや)がマウンドに上がり、無死三塁から一番の佐藤直樹にタイムリーを浴びるが、その後は2イニングを無失点に抑える。打線は5点を追う9回表、八番・仲村来唯也(なかむら・らいや、九州アジアリーグ・火の国サラマンダーズ)のこの日3安打目となるタイムリーツーベースで1点を返し、完封負けを免れるのが精いっぱいだった。

 27日は打線が先発・和田毅、2番手・東浜巨というソフトバンクの「元最多勝リレー」の前に沈黙し、今月2度目の完封負け。28日の3戦目は初回2死三塁から四番ジェリンソン・バスケス(カープアカデミー)に適時打が飛び出し、この3連戦で初めて先手を取るが、2回裏にソフトバンクの打者一巡の猛攻に遭って5失点。3回に3点、8回にも3点を奪われ、今月初の2ケタ失点で7月9日の阪神タイガース戦(阪神鳴尾浜球場)から2引き分けを挟んで今季ワーストの9連敗となった。

バングルプはオランダ代表で昨春のWBCに出場、今年3月には欧州代表として来日

 27日に先発した右のサイドスロー、フランクリン・バングルプは今月に入って入団したばかりの28歳。9日の来日初登板(阪神戦)は先発で2回1失点(自責点0)という“ショートスターター”だったが、その後は2度のリリーフ登板で計4イニングを無失点に抑えた。現役時代は北海道日本ハムファイターズで活躍した中村勝投手コーチは「右の横からあの(曲がりの大きな)スライダーを投げられたら(右打者は)そんなに簡単には打てないと思う」と話す一方で、左打者への決め球不足に懸念を示していたが、実質的な“初先発”となった27日の試合では4回にその左打者に3連打を許して2点を失うなど、5回3失点で来日初黒星。今後にやや課題を残す結果となった。

 バングルプはカリブ海にあるオランダ領アンティル出身で、フロリダ国際大学から2017年のドラフトでサンフランシスコ・ジャイアンツの25巡目指名を受けてプロ入り。その後はサンディエゴ・パドレス、シアトル・マリナーズのマイナーを渡り歩き、ほぼ救援として4年間で通算105試合登板、13勝9敗11セーブ、16ホールド、防御率4.08の成績を残した(2020年はマイナーリーグがシーズン全休のため登板なし)。

 2022年以降はオランダ国内リーグ、米国の独立リーグでプレー。昨年はアトランティック・リーグのロングアイランド・ダックスで25試合に救援登板して1勝0敗0セーブ、防御率1.85で、オフはベネズエラのウインターリーグにも参戦した。2019年のプレミア12、昨年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)などでオランダ代表に名を連ね、欧州代表として出場した今年3月の侍ジャパンシリーズでは、日本の四番・村上宗隆(東京ヤクルトスワローズ)を一塁ゴロに打ち取るなど1回2/3を投げて無失点だった。

「NPB12球団ジュニアトーナメント」参加に向けセレクション実施へ

 これでくふうハヤテは今シーズン、78試合を消化して20勝52敗6分け、勝率.278でウエスタン・リーグ6位。5位の広島東洋カープとのゲーム差は7.5に広がっている。今週は今日、7月30日から8月1日にかけてホームグラウンドのちゅ~るスタジアム清水でイースタン・リーグの東北楽天ゴールデンイーグルスとのファーム交流戦3連戦、8月2日から4日までは静岡県営愛鷹球場で中日ドラゴンズとの3連戦が予定されている。

 なお、くふうハヤテは7月23日に「NPB12球団ジュニアトーナメントKONAMI CUP 2024」への参加を発表。12月に開催される同大会に向け、ジュニアチーム結成のためのセレクションを8月18日から実施することも併せて発表した。これまではセ・パ12球団のジュニアチームによって争われていた同大会は、今年はくふうハヤテジュニアの他、オイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブジュニアチーム、日本独立リーグ野球機構加盟リーグ選抜ジュニアチーム(2チーム)が招待チームとして加わり、計16チームがしのぎを削ることになる。

(くふうハヤテの選手名後のカッコ内は読みがな、前所属。文中の今季成績等は7月29日現在)

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フリーランスライター

静岡県出身。小学4年生の時にTVで観たヤクルト対巨人戦がきっかけで、ほとんど興味のなかった野球にハマり、翌年秋にワールドシリーズをTV観戦したのを機にメジャーリーグの虜に。大学卒業後、地方公務員、英会話講師などを経てフリーライターに転身した。07年からスポーツナビに不定期でMLBなどのコラムを寄稿。04~08年は『スカパーMLBライブ』、16~17年は『スポナビライブMLB』に出演した。著書に『燕軍戦記 スワローズ、14年ぶり優勝への軌跡』(カンゼン)。編集協力に『石川雅規のピッチングバイブル』(ベースボール・マガジン社)、『東京ヤクルトスワローズ語録集 燕之書』(セブン&アイ出版)。

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