「ボコボコにできるように頑張りたい」阪神育成3位の早川太貴、古巣・くふうハヤテへの“恩返し”誓う
今シーズンからプロ野球(NPB)の二軍、ウエスタン・リーグに参加した新球団・くふうハヤテベンチャーズ静岡が、11月23日に初めてのファン感謝デーを静岡市内で開催。赤堀元之監督をはじめ、今季限りで退団が決まった選手も含め20人あまりが参加した。
この日のイベントの柱は清水駅前銀座商店街で3回に分けて行われたトークショーと、商店街にある屋内施設でのファンとの交流会。トークショーの2回目には、10月24日のドラフト会議で阪神タイガースから育成3位で指名され、11月18日に仮契約を結んだばかりの早川太貴(はやかわ・だいき、24歳)も登壇した。
今季阪神戦の防御率は驚異の0.35も、本人は「たまたま」
早川は小樽商科大学卒業後、北海道北広島市役所の福祉課でケースワーカーとして働くかたわら、クラブチームのウイン北広島でプレー。ドラフト候補として注目されながら昨年は指名ならず、11月の球団トライアウトを経てくふうハヤテに入団した。誕生したばかりの新球団では、開幕投手を務めるなどウエスタン・リーグで25試合に登板して完投勝利を含む4勝7敗、防御率3.22の成績を残した。
この日のトークショーでは、ウエスタン・リーグで何度も対戦した阪神との相性の良さに水を向けられ「阪神が得意というより、阪神戦の日に調子いいっていうのがありまして。それがたまたま阪神戦でした」と笑った早川だが、今シーズンはチーム打率リーグ2位、得点同1位の阪神打線をほぼ完璧に抑えた。
3月22日の初対戦(阪神鳴尾浜球場)では7回無失点で自身の初勝利とともにチームにも記念すべき初白星をもたらすと、阪神甲子園球場で行われた5月3日の対戦でも8回までに10個の三振を奪い、3安打1四球で無失点。通算6試合の登板で防御率0.35と、抜群の好成績を収めている。
ただし、これから一員となるその阪神は、一軍投手陣が昨季は防御率セ・リーグ1位、今季も1位の読売ジャイアンツと僅差の2位と強力。育成入団からの支配下登録を見据え「(阪神は)ピッチャーの層も厚いので、頑張らないと投げられないんじゃないかと思う」と早くも気を引き締めていた。
「紅白戦で打たれてずっと悔しかったんで、やり返したい」
その早川の隣で「来年は敵チームになるんで、何とか攻略していきたいなと思います」とジャブを入れたのが、現役時代は北海道日本ハムファイターズなどで活躍し、今季はくふうハヤテで早川に寄り添ってきた中村勝投手コーチ。トークショーの締めの挨拶で「早川投手が旅立っていくので(阪神の選手として)なんとかちゅ~る(スタジアム清水)で投げていただいて、(くふうハヤテの)バッターも打つしピッチャーも抑えてなんとか攻略して、その瞬間を球場に見に来ていただければと思う」とたたみかけると、早川も‟恩師“のそんな辛口エールに応えてみせた。
「マサルさん(中村コーチ)のほうからもあったんですけど、(阪神でも)ちゅ~るで投げる機会もあると思うんで、その時はボコボコにできるように頑張っていきたいなと思います。(今年の)最初にやった紅白戦でマスさん(増田将馬、今季ウエスタン・リーグ盗塁王)とクラさん(倉本寿彦、元横浜DeNAベイスターズ)には初球ヒットを打たれてそれがずっと悔しかったんで、やり返したいなと思います」
くふうハヤテからはシーズン終盤に西濱勇星がヤクルトと育成契約
早川が目指すは、もちろん支配下登録。だが、その前にファームで古巣となるくふうハヤテとの試合に登板して“恩返し”をすると、ファンの前で誓った。この日はトークショーのほか屋内施設での交流会にも参加し、サインや写真撮影の求めにも応じるなど、残りわずかとなるくふうハヤテのユニフォーム姿で多くのファンとふれあった。
昨年11月のトライアウトでゼロの状態から球団を立ち上げたくふうハヤテは、この早川のほかにシーズン終盤には元オリックス・バファローズ育成の西濱勇星を、育成契約で東京ヤクルトスワローズに送り出すことにも成功している。
シーズン終了後には、現役引退の福田秀平(元福岡ソフトバンクホークスほか)らを含めおよそ半数の選手が退団。11月2、3日には来季に向けた球団トライアウトを行い、NPB球団から戦力外となった選手や新外国人の獲得を含め、大幅な血の入れ替えを行って2年目を迎えることになるが、早川や西濱に続く選手が来年は何人現れるか──。
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