迎春の和菓子にイチオシの「初なすび」縁起物の茄子をじっくりと蜜漬けにした日本の伝統銘菓です
クリスマスの前から、和菓子売り場は迎春モード。(とはいえ、クリスマスの和菓子も最近は増えてきましたね。)新年を迎えるための和菓子や、お正月休みの家族団欒のひとときにぴったりな詰め合わせなど、慌ただしい日々とは裏腹に色とりどりの和菓子に浮足立つ今日この頃。
さて、新年を迎えるにあたり切っても切れない言葉が「一富士・二鷹・三茄子」茄子は物事を成すということから、成功や目標達成の象徴とされ、新しい年の始まりには相応しい食材なのですが、おせち料理には見当たりませんよね。
それでは和菓子で取り入れてみるのはいかがでしょう?茄子の砂糖漬け、といいますと「え?」と思う方も多いかもしれません。さつまいもや人参といった根菜類ならまだしも、茄子は水分量の多い野菜。ですが、千葉県や群馬県、京都府などの和菓子屋さんでも見られる歴史ある和菓子。その中でも有名な商品のひとつ、山形県鶴岡市の老舗「大松屋本家」さんの「初なすび」をご紹介。
大松屋本家さんの初なすびは、鶴岡市の特産品でもある小柄な茄子、民田茄子を使用しているとのこと。こちらをヘタごとコトコト蜜煮にして漬けてを何度も何度も繰り返し、数か月かけて出来上がるのがこちらの砂糖漬け。まっさらな粉雪を纏ったような風貌は、澄んだ冬の雪景色を思い起こさせます。
しゃりっとした砂糖の中は、ねちっとしたグミのようなソフトキャンディ―のような食感。フルーツケーキやバタークリームのケーキに添えられていたドレンチェリーが近いかもしれません。中は溶かしたべっこう飴のような色合い。隅々まで蜜が染みわたっており、二、三回咀嚼すると茄子らしい青さもほんのり漂うのですが、それ以降は果実のようなねっとりとした食感と味わい。
コク深い甘味は、一長一短ではなしえないお砂糖と素材の個性が織り成すもの。驚いたことに、ヘタや茎の部分まで蜜が染みているので食べられます。
とはいえ、野菜の砂糖漬けということもあり好き嫌いが別れそうな御菓子ではあるものの、少しずつゆっくりと時間をかけていただくと熱いお茶が進むかもしれません。
初夢に現れなくても、体の中に取り込んでしまうというのもゲン担ぎとしてはありなのでは?と思ってしまう私。
百貨店などでお見かけの際には、一度手に取ってみてはいかがでしょうか。
<大松屋本家>
山形県鶴岡市水沢字行司免49
0235-35-4011