有名YouTuberヒカル氏が箸の使い方や食事マナーで炎上! その批判は本当に正しいか?
食事マナーで炎上
食事のマナーは気になりますか。
パートナーや親類、友人や同僚と一緒に食事する時に、相手の食事マナーが気になることがあるかと思います。たとえ、一緒に食事していなくても、人が食事しているのを見て気になることも少なくありません。
代表的なのが、テレビやYouTubeなどの動画。今ではSNSによって、食事マナーの悪さが拡散されてしまい、炎上することもあります。
最近では、YouTuberであるヒカル氏の食べ方が大きな話題となりました。いくつか記事がでているので、知っている人も多いでしょう。
・YouTuberヒカルに「食べ方汚すぎ」指摘 寄せ箸、刺し箸、肘付きも...共演者は擁護コメント/J-CAST ニュース
・ヒカル、松村沙友理との恋バナ中に「寄せ箸・刺し箸」する食事マナーにドン引きの声/週刊女性PRIME
ヒカル氏は宮迫博之氏がオープンした焼肉店「牛宮城」にも関わっていたので、食に対してどのような意識をもっている方なのかと、私も気になっていました。
YouTubeでの食事マナーを批判
件の動画とは、ヒカル氏が他のYouTuberたちと共に食事しながら話をするという内容。この中で、箸でお皿を寄せたり、箸で食べ物を刺したり、箸で取ったものを戻したり、箸を持ったまま指さししたり、肘をつきながら食べたりしたということです。
実際に動画を確認してみると、他にも気になるところがあります。鉛筆のように箸を2本まとめて握っていたり、取り皿の上で箸を揃えたり、箸を振り上げたり、取り皿の上に置かれたナプキンを膝の上に敷かず、ポイとテーブルに投げてどけたり、箸を持たない腕が下がっていたりしました。
ヒカル氏は著名なYouTuberなので、SNSなどで多くの批判があったということです。
改めて箸の使い方や食事マナーについて考察していきましょう。
食事マナーに違反しているか
まず、先に指摘された行為は本当に食事マナーに反するものなのでしょうか。
箸のマナーについては、農林水産省の公式サイトにわかりやすくまとめられています。
鉛筆のように箸を2本まとめて握る持ち方は「ペン箸」といわれています。薬指を使って箸を広げることが難しくなるので、食べ物を上手に掴むことができません。
箸でお皿を寄せるのは「寄せ箸」、箸で食べ物を刺すのは「刺し箸」、箸で取ったものを戻すのは「空箸」、箸を振り上げるのは「振り上げ箸」、取り皿の上で箸を揃えるのは「揃え箸」といわれています。これらは「嫌い箸」として、人前では恥ずかしい箸のマナーとされています。
また、箸を持っていない腕をだらりと下げて食べるのは「片手食い」。本来であれば、使っていない腕はテーブルの上に出しておき、肘をついたりせず、手首をのせるのがマナーです。ナプキンは膝の上に敷くものであり、ポイと投げるのもスマートではありません。
箸の使い方と所作
農林水産省のサイトに掲載されていたことからもわかるように、箸の使い方は日本の食文化と密接な関係があります。
箸という道具を正しく使いこなせないと、食事を美しく食べることができません。指先の動きが効率的でないことから体全体の動きまでいびつになり、所作が早くなったり、雑になったり、体が斜めに向いたり、背中が丸まったり、犬食いになったりしてしまいます。
相手を不快にさせない
誰かと一緒に食事することを共食といいます。
食事を共にすることは人間関係を形成するのに重要。食事のマナーは、共に食事する相手に不快な思いをさせず、互いに気持ちよく過ごせるようにするための潤滑油です。
特に箸は日本人が昔から用いている食器なので、箸の使い方は同席者の印象に大きな影響を及ぼします。その証左として、箸のマナー違反は先に挙げた「嫌い箸」の他に「忌み箸」とも呼ばれているほどです。
男女の食の相性にも関係
先日、食事のマナーと男女の相性に関する記事を書きました。
・デート中の食事マナーで気になることの1位は? 男女の食の相性に関する3つの考察(東龍) - 個人/Yahoo!ニュース
「食の相性が悪いなと感じるのはどんな時?」では、男女ともに「食事中のマナーに対する意識」がトップになり、相手の食事マナーが最も気になるという結果に。
ここでは男女における食事マナーの感じ方を紹介していますが、男女間ではなくても、同じではないでしょうか。
箸は慣用句や神話にも登場
箸は日本の文化に影響を及ぼしています。箸が用いられた慣用句がたくさんあることからも理解できることでしょう。
・箸が転んでも可笑しい年頃
・箸が進む
・箸にも棒にも掛からない
・箸の上げ下ろし
・箸より重い物を持たない
・箸を取る
・箸を持って食うばかり
・箸をつける
・箸を置く
・箸を休める
古いところでは、日本の神話「古事記」でスサノオが流れてきた箸を拾う話も登場します。
箸は日本の食文化
2013年12月に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、和食および日本料理、つまり、日本の食文化が尊いものであると世界から認識されるようになりました。
この時期からコロナ前までは、訪日外国人の数が増えていき、日本料理だけではなく、日本で使われている箸にも関心が及びました。訪日外国人が、フォークとナイフを用いず、箸を器用に使って食事する様子を見たことがある人も多いでしょう。
それにもかかわらず、当の日本人が箸を満足に使えなかったり、箸の重要性を蔑ろにしたりするようでは、日本の食文化の素晴らしさを伝えることができないと危惧しています。