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43盗塁のスピードスターが離脱。2位とは15盗塁差があるものの、盗塁王の行方は…

宇根夏樹ベースボール・ライター
エステウリー・ルイーズ(オークランド・アスレティックス)Jul 5, 2023(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月7日、エステウリー・ルイーズ(オークランド・アスレティックス)は、前日まで遡って故障者リストに入った。

 7月5日の試合で、6回表に出塁したルイーズは、次の打者のライナーが三塁手に捕球され、ヘッド・スライディングで一塁へ戻った際に、右肩を痛めたらしい。上の写真は、その直後だ。6回裏の守備にはついたが、7回裏が始まる前に交代した。関節の部分にずれが生じているという。

 今シーズン、ルイーズは、両リーグ最多の43盗塁を記録している。ナ・リーグには41盗塁のロナルド・アクーニャJr.(アトランタ・ブレーブス)がいるが、ア・リーグでルイーズに次ぐのは、28盗塁のワンダー・フランコ(タンパベイ・レイズ)だ。ルイーズとフランコの差は、15盗塁もある。

 ただ、ルイーズがいつ復帰できるのかは、まだわからない。

 4月半ばに同様の怪我に見舞われたギャレット・ミッチェル(ミルウォーキー・ブルワーズ)は、今もまだ、復帰していない。ブライアン・アンダーソン(ブルワーズ)は、マイアミ・マーリンズ時代の2021年に2ヵ月離脱し、一度は復帰したものの、1ヵ月後に再び故障者リストに入り、そのままシーズンを終えた。

 ルイーズと同じスピードスターの例としては、11年前のジャコビー・エルズベリーが思い出される。こちらは、2012年の4月中旬から7月中旬まで、3ヵ月にわたって欠場した。

 ルイーズが復帰できなかった場合――そうならないことを願うが――43盗塁のまま、盗塁王を獲得できるかどうかは、微妙なところだろう。

 フランコの場合、レイズはポストシーズンに向かっているので、タイトルのためだけに盗塁を試みるというわけにはいかない。また、フランコの盗塁死は、ルイーズと同じ8度だ。成功率は、ルイーズよりもかなり低い。

 ルイーズを追い抜く可能性は、フランコよりも、26盗塁のボビー・ウィットJr.(カンザスシティ・ロイヤルズ)のほうが上かもしれない。アスレティックスと同じく、ロイヤルズの勝率は.300に達していない。

 なお、ここまでのルイーズについては、こちらで書いた。

「81試合で40盗塁のスピードスターは、ルーキーの盗塁記録を更新し、新人王を受賞するのか」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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