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京都の超人気パン店「たま木亭」のスペシャリテ「クニャーネ」の専門店、東京・有楽町にオープン。

清水美穂子ブレッドジャーナリスト
左:クニャーネ(320円)右:チョコクニャーネ(400円)(筆者撮影)

京都府宇治市・黄檗駅にほど近い、行列の絶えないパン店「たま木亭」は、平日で600人、週末は800人近くのお客が訪れる人気店で、オーナーシェフの玉木潤さんは、製パン技術を競うパンのワールドカップに日本代表選手として出場したこともあるパン職人だ。そんなたま木亭のスペシャリテの一つである「クニャーネ」の専門店「クニャーネの店」が2021年11月30日、東京・有楽町駅前(千代田区有楽町2-8-5)にオープンした。

ガラス質、と呼ばれる質感の、焼きたての生地。(筆者撮影)
ガラス質、と呼ばれる質感の、焼きたての生地。(筆者撮影)

クニャーネとは、パイのような折り込み生地を巻いた筒の中に、オリジナルのフレッシュなカスタードクリームを絞ったもので、極薄のガラスのように硬質でありながら、一瞬で砕け散る儚い質感が特長のお菓子だ。

ユニークな名前の由来はフランス・ブルターニュ地方の発酵菓子、クーニャマン(クイニーアマン。たま木亭ではクーニャマンと呼ぶ)から来ている。クニャーネも、クーニャマンのように表面をカラメル状に硬質に仕立てているから、フレッシュなクリームをホールドできるのだ。

焼きたての生地にフレッシュな生クリーム入りカスタードクリームを絞る。(筆者撮影)
焼きたての生地にフレッシュな生クリーム入りカスタードクリームを絞る。(筆者撮影)

今まで百貨店などにも出店してこなかったたま木亭だが、「これはたま木亭の中でも特別な商品なので、この機会に東京で、よりたくさんの人に食べてもらえたらと思っています」と監修をした玉木さんは言う。

たま木亭にはたくさんの商品があるが、その中からなぜクニャーネの専門店なのかを出資者の柳田武博さん(株式会社柳田武博企画)に尋ねた。「京都にしかない名店の看板商品で、折り込み生地とカスタードは誰もが好きな鉄板の組み合わせだからです」。京都のオリジナルに限りなく近づけ、玉木さんが納得するクオリティになるまで諦めずに取り組み、数年かけて実現させた。

 左:玉木潤さん 右:柳田武博さん(筆者撮影)
 左:玉木潤さん 右:柳田武博さん(筆者撮影)

焼きたてのぱりぱりの折り込み生地に、絞りたてのフレッシュなカスタードクリーム。京都と同じように、ここでも焼きたて、絞りたてを味わうことができるのが嬉しい。メニューは「クニャーネ」と「チョコクニャーネ」の2品のみ。チョコの方は、たっぷりのクーベルチュールにディップしてアーモンドを散らしている。いずれも生地の部分が甘くなくて味のバランスが良く、生地とクリームの食感の違いが楽しく、何より出来たてで新鮮なのが人気の理由に違いない。

いつも活気のある有楽町の銀座口(筆者撮影)
いつも活気のある有楽町の銀座口(筆者撮影)

ブレッドジャーナリスト

東京出身。2001年より総合情報サイトAll Aboutでガイドを務めることにより、パンに特化した取材執筆活動を開始。注目のベーカリーとつくり手についてWeb、TV、ラジオ、新聞、雑誌等メディアで発信、紹介する一方で、消費者動向やトレンド情報を業界に提供、ベーカリーと消費者の相互理解を深める活動をしている。取材執筆、企画監修、講師、各種コンテスト審査員、コンサルティングなども行う。主な著書『BAKERS おいしいパンの向こう側』(実業之日本社)『日々のパン手帖 パンを愉しむsomething good』(メディアファクトリー)『おいしいパン屋さんのつくりかた』(ソフトバンククリエイティブ)他

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