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日本はもはや“平幕“ではない。5バックという“変化”ワザでは将来伸び悩む。観客も喜ばない。相撲に学べ

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ロイター/アフロ)

 日本がヴォルフスブルグでドイツに4-1で勝った一戦。こう言っては何だが、スタジアムに入った瞬間から、日本の善戦を予想することができた。フォルクスワーゲン・アレーナの収容人員は30000人で、実際に集まった観衆は24980人。日本戦への期待度はこの数字に表れていた。

 ドイツにしては小ぶりなスタジアムで行われたにもかかわらず、スタンドは埋まらなかった。ドイツは12日にフランスと親善試合を行っている。舞台となったドルトムントのジグナル・イドゥナ・パルクの収容人員は80000万余人。日本に敗れた影響か当日の観衆は60486人で、スタンドは4分の3しか埋まらなかったことになる。とはいえである。両試合を比較したとき、ドイツ人がどちらに高い比重を置いているかは一目瞭然である。

 ドイツは日本を軽んじていた。日本に負けるはずがない。カタールW杯で喫した敗戦は一種の事故であると多くのドイツ人は考えていた。それが当事者である、日本がそこまで弱くないことを知っているドイツ選手にはプレッシャーとなった。カタールW杯に出場していない選手も開始早々にその事実を知ることになり、慌てた。

 ちなみにドルトムントで行われたフランス戦は2-1。ドイツは日本戦で失った威厳を回復する恰好になった。日本に大敗した後、解任の憂き目に遭ったハンス=ディーター・フリック監督は、運に恵まれなかったと言うべきか。

 それはともかく、日本対ドイツに話を戻せば、2-1で折り返した前半はとても面白い試合だった。日本が先制。ドイツが追いつき、日本が再びリードするという撃ち合いの展開である。

 日本が2ゴールを追加したのは後半の追加タイム。すなわち後半頭からの45分間は、両軍にゴールが生まれなかったことになる。前半とは一転、試合内容も低調だった。日本が5バックに変更したこととそれは密接な関係にある。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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