ドコモがクレカ投信積立に参入 「dカード積立」に後発の強みはあるか
6月6日、NTTドコモが「dカード」を利用した投資信託の積み立てサービスを発表しました。7月5日から開始する予定です。
新NISAで人気の高いクレカ投信積立に、いよいよ携帯キャリア最大手のドコモが参入した形になりますが、後発ならではの強みはあるのでしょうか。
還元率は同じでも経済圏との連携に強みか
昨年10月、ドコモはマネックス証券を子会社化することを発表しました。ただ、実際に業務提携を始めたのは新NISAが始まった後の2024年1月4日で、出遅れた感は否めません。
一方、すでにマネックス証券は「マネックスカード」を利用した投信積立サービスを提供してきたこともあり、ドコモが新たに始めるサービスとの違いが注目されていたといえます。
さて、今回発表された「dカードによるクレカ積立(dカード積立)」の中身を見てみると、年会費無料のdカードにおけるポイント還元率は、マネックス証券が提供してきたサービスと同じに設定されています。
また、マネックスカードによる積み立てとdカードによる積み立ての両方を使うことはできず、どちらか1つしか使えない仕様になっています。
これだけでは、単にマネックスカードがdカードに置き換わっただけではないか、と思えるところですが、ドコモならではの特徴として「dポイント」経済圏との連携があります。
具体的には、dカードによる積み立てが「dポイントクラブ」の会員ランクの判定対象になっており、投信積立のポイントがカウントされることで、ランクが上がりやすくなると期待できます。
たとえば「4つ星」ランクになるには、3か月で1500ポイントを獲得する必要があります。ポイント還元率を1%とすれば、3か月で15万円を使う必要があるわけです。
そこで毎月5万円を積み立てることで550ポイントを獲得すれば、3か月で1650ポイントになり、確実に4つ星をキープできる計算になります。最上位の「5つ星」(3か月で5000ポイント)に手が届く人も増えるでしょう。
dポイントクラブは10月に改定があり、会員ランクに応じて「d払い」の還元率が上がる仕組みが導入される予定です。ランクが高い人ほど、dポイントをためやすくなるといえそうです。
他社との比較では、最も利用者が多いと思われる年会費無料のカードと毎月5万円以下で「1.1%」還元となっており、楽天証券やSBI証券より魅力的な数字になっています。
また年会費はかかるものの、ゴールドカード「dカード GOLD」とNISA口座なら月額10万円まで1.1%がフルに還元される点も、他社を上回っている印象です。
ドコモ経済圏のユーザーであれば、これから投信積立を始めたい人はもちろん、すでに他社で始めてしまったという人でも、dカード積立の利用を検討して損はない内容といえそうです。
dカード「プラチナ」にも期待?
ドコモの通信品質には都市部などで不満の声が続いているものの、日本には「ドコモなら安心」と考える人がまだまだ存在すると考えられます。
そういう意味では、ドコモがクレカ投信積立を始めることで、これまで投資に関心がなかった人を惹き付ける効果を期待したいところです。
また、ドコモは「ポイ活」プランの提供を始めたり、毎月の携帯料金にポイントを充当できることをアピールしたりと、経済圏の拡大を図っています。クレカ投信積立の開始によって、先行する楽天との差はさらに縮まりそうです。
dカードについて、ドコモはゴールドカードよりも利用が多い人に向けた新サービスを2024年秋に発表する予定としています。こちらもあわせて注目といえるでしょう。