熱中症への配慮が重要!猛暑でおこなう自治会の草刈り活動
2024年の7月は、過去最高に暑い月となりました。そんな猛暑のなかで毎年決まったサイクルで行われる、自治会の草刈り活動には十分な熱中症対策が必要です。
筆者は防災士として、困りごと相談も受付けています。今回は困りごと相談で寄せられた内容と、筆者の体験談を踏まえて、猛暑のなかで行われる自治会の草刈り活動の問題点をお伝えします。
今年も多くの自治会が「7月の草刈り活動」を報告している
『2024年7月 自治会 草刈り』で検索すると、ホームページを所有している自治会では「7月の草刈り活動」を紹介しています。
筆者の参加する自治会でも、7月にAM8:00から地域内の公園の草刈りを含む掃除がありました。
しかし、今年のような暑い7月に「例年どおりの行事」が必要なのか、検討する時期にきているのではないでしょうか。相談者のAさんも、自治会の草刈りに参加すべきか悩んでいました。
熱中症警報アラート!30年前と同じタイミングでは行えない
毎日のように翌日の「熱中症警戒アラート」が発表される近年では、30年前のタイミングと同様に7月の行事をこなすことはできません。
約1か月~1か月半となる5月中旬から6月中にズラし、7月に開催する外での行事は控えるようにするべきでしょう。
伝統ある祭りなどの行事は、日程を変えることは不可能かもしれません。しかし、これらの大がかりな行事では、万全の熱中症対策を施して行われるはずです。
熱中症対策は個人任せ!7月初旬なら草刈りも大丈夫らしい
ところが、地域の小さな公園の草刈りを含む掃除は、数十人規模で行われるため熱中症対策は個人任せです。
しかも、熱中症警戒アラートが出ていても、7月初旬の早朝なら大丈夫との考えを持つ役員がいるもの事実です。
しかし、熱中症は身体が暑さに慣れていないときに起きることが多いため、早朝なら大丈夫との考えは間違えです。
リスクがあるなら対策が必要ですし、対策を施さないのであれば安全のため、草刈りなどは中止すべきでしょう。
掃除が終わっても直ぐに解散しない!パワハラを通り越している
Aさんの自治会には世話好きなお年寄りがいるそうで、老人会でも会長的な立場にあるのだとか。当然ながらどの地域にも、世話好きの方はいるでしょう。
もちろん、そんな世話好きの方がいるからこそ、地域でのコミュニティが成立しているのも事実です。Aさんの相談の中には、次のような内容が含まれていました。
- 草刈り後に全員を集合させる
- 自治会の活動報告の書面を読み上げる
- 炎天下でのどもカラカラなので早く帰りたい
- 無視して帰ろうとすると怒鳴りつける
- パワハラを通り越して地獄のいじめ!
このようなことが行われているようです。Aさんとしては無視するのは簡単だが、家族が変な目で見られるのが怖いとのこと。
そこで、何かいい解決策はないか相談に来られたのです。
熱中症対策をとるよう自治会長に要望書を提出!
今回の解決策は、自治会長に要望書を提出することです。恐らく元凶である、世話好きなお年寄りに話をしても無駄でしょうし、部外者である筆者が絡むと余計にこじれてしまいます。
そこで、筆者がAさんから状況を聞き取り、自治会長宛に要望書を作成。詳しくは紹介できませんが、主に次のような要望を記載しました。
- 公園の草刈りの時期を6月に早められないか
- 時間短縮のため電動の草刈り機などの導入はできないか
- 自治会の活動報告などは回覧板で行い早期に解散する
- 熱中症対策として水分補給などの支援を行って欲しい
概ねこのような内容を記載し、委員会や総会などで検討するよう文書で提出することとしたのです。
また、実際に今年7月に三重県伊賀市内で地区の草刈り作業中に、熱中症で救急搬送されたものの残念ながら死亡した案件も、事故例として併せて報告しました。
Aさんは自治会長に提出し快く受け取ってもらった!
Aさんが要望書の提出を、草刈りに参加した近隣の住民に話したところ、名前を加えて欲しいとの依頼があったようです。
その結果、要望書の差出人を「熱中症から住民を守る会」として、15名の連名での提出になりました!
声が大きくなったこともあり、自治会長も「そんなことになっていたのか」と驚いていたようで「分かった、しっかり検討します!」と快く受け取ってくれたそうです。
筆者が参加する自治会でもさまざまなトラブルが起きており、要望書や依頼分書などを作成し、トラブルに応じて自分で自治会に対応しています。
自治会は自主運営組織なので、住民同士の協力は必要です。しかし、時代の経過によって自治会の存在意義が変化していることも、運営側は受け止めないといけない時代になっています。
自治会内で住民の意見として声をあげられるコミュニティでなければ、今後の自治会運営はどの地域でも難しいものになるでしょう。