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日本が治安が良く銃社会にならなかったのは豊臣秀吉の刀狩りのおかげなのか?

歴ブロ歴史の探求者

外国人に『日本のどんなところが良いのか?』と質問すると、一番多い回答に【治安の良さ】をあげます。住んでいる私たちは、当たり前のことで実感がわきませんが、なぜ日本は治安が良い国となったのでしょうか?

それは、日本が銃社会ではないという事が大きいと思います。
日本が銃社会にならなかったのは秀吉の刀狩り以降に国民が武器を持つ機会が無くなったからと考えている人もいるようでした。

そこで今回は、銃社会と秀吉の刀狩りについて調べてみました。

日本とアメリカの武器の規制

戦国時代の刀を現代に置き換えると銃となりますが、日本では銃(刃物)を持つのも使用するのも厳しく規制されています。クレー射撃のライフルを所持するにも手続きや講習があります。

一方でアメリカでは銃規制を求める声が高まっていますが、反対派と賛成派が二分されたまま平行線をたどっている状況です。また、アメリカの非営利団体(GVA)によると2023年の銃乱射事件が6月現在300件以上発生しており、調査を開始した2014年以降最も早い300件突破だとしています。

このように、銃の規制が厳しい日本と規制が緩いアメリカ。この両極端になった背景には、それぞれの歴史的背景が関係しているそうです。

アメリカでは開拓時代、土地が広大すぎて保安官が当てにならず、家族と財産は自分で守るしかありませんでした。また、インディアンの襲撃に備えて、誰もが銃で武装をしていたと言います。

日本でも害獣や盗賊被害の防衛のために農民が武器を持っていましたが、1588年に豊臣秀吉が農民らの反乱(一揆)を防ぐために武器の徴収を行いました。

刀狩りは秀吉が初めてではなかった

秀吉のイメージが強い刀狩りですが、鎌倉幕府の執権・北条泰時が高野山の僧侶に対して初めて刀狩りをしたとされています。以降、五代執権・時頼の時代に適応範囲を庶民に拡大しました。

また、秀吉の元同僚だった柴田勝家が越前一向一揆対策で、寺社を通じて刀を提出するように御触れを出しています。

そして、時代が進み秀吉による刀狩りが行われるのですが、当初は九州平定における政策の一部で実行されます。さらに天下統一がなされると全国に適応され本格的な武器規制が行われました。

秀吉の刀狩り政策後の日本

刀狩り後、百姓が刀などの武具を所持する事が禁じられます。しかし、全て取り上げたわけではなく、帯刀権をなくし使用規制をして兵農分離政策を推し進めていくのが目的でした。
この政策は江戸幕府にも継承され、武士を特権階級とした身分制度へと繋がっていくのです。

明治維新後の1876年には、大礼服着用の場合や軍事や警察官などが制服を着用する以外に刀を身に着けることを禁止した廃刀令が発布されました。

この廃刀令は、帯刀(刀を腰に身に着ける)を禁止したのであって、所持や所有についての規定はありませんでした。しかし、武士たちにとって帯刀は実践装備と言うわけではなく、身分の証明の意味合いの方が大きかったので、帯刀禁止は武士の特権を否定されたということになります。


GHQによる刀狩り!?

1945年の第二次大戦終戦後に、GHQによる【鉄砲等所持禁止令】により狩猟用と競技用の銃器類と美術用以外での刀の所持を禁止されて、日本全国で300万と言う銃や刀などが没収されました。

この時、鉄製の銃を切り落とす日本刀の威力にアメリカ兵たちが『日本の刀、やばいわ~※』と口々に言ったそうです。この刀の没収で数々の名刀が外国へ流れていきました。
※実際に言ったかは分かりませんが、とにかくすごいと絶賛していたようです。

このGHQ版の刀狩りの後、現在の銃刀法の法律が整えられることになり、世界でも例を見ない『銃器に縁遠い国』が形成されることになり、今日の治安の良さが生まれました。

歴史の授業では【秀吉が農民の反乱を防ぐために刀狩りをしました。】と、簡単に触れられるだけで、政策がその後に及ぼした影響などは、あまり重要視されないで学習した気がします。

銃社会であるアメリカの現在を考えると、良かれ悪かれ現代までに影響を及ぼしている重要な事なのでこの辺もしっかり教えてほしいと感じます。

当時の戦国大名たちは、一揆との戦いで苦戦することが多かったですし、秀吉自身も織田信長の家臣として伊勢・長島や北陸での一揆に苦戦を強いられています。農民出身だった秀吉は、農民の怖さを一番理解していたのでしょう。

本能寺の変後、山崎の合戦に敗れた明智光秀は秀吉ではなく、武装した農民たちに討たれたとされています。結束した農民たちの怖さを知っていたからこそ、秀吉は刀狩りを行ったと考えます。

現在の治安の良さは直接的に秀吉の刀狩りではなく、戦後のGHQの行った【刀狩り=鉄砲等所持禁止令】によるところは大きいでしょう。しかし、秀吉の行った刀狩りも民衆に武器を持たせない事を当たり前にしたと言う意味では、一役買っていると私はおもいます。

歴史の探求者

歴史好きが講じて歴史ブログを運営して約10年。暗記教科であまり好きでないと言う人も少なくないはずです。楽しく分かりやすく歴史を紹介していければと思います。歴史好きはもちろんあまり好きではない人も楽しめるような内容をお届けします。

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