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ピンクの回転寿司からギネス挑戦の35万円コース……日本の“鮨と寿司”はどこへ行く?

東龍グルメジャーナリスト
(写真:イメージマート)

日本には様々なジャンルの飲食店がありますが、中でも予約がとれないのが鮨店(魚が中心の寿司店)です。いわゆる“立ち寿司”はカウンタースタイルなので、街場の鮨店であれば10席足らずという小箱。客単価が5万円を超える高級店でも、席数が少ないので予約をとるのが難しいです。庶民的な食事であったはずの鮨も、今では一部の人気店は高嶺の花どころか、生涯食べる機会に巡り合えないといった方が正しいでしょう。

その一方で、回転寿司は日本の津々浦々に広く展開されており、ほとんどの日本人が経験したことがあるといっても過言でありません。予約しなくても少し待てば入店でき、好きなものだけを取って食べられるので、非常に気楽です。

このような鮨と寿司は最近、日本の国内外を含めて、ますます分化しています。

▼銀座の鮨の名店が、3年目の若手が握る鮨店を開業

▼海外では回転寿司がプラットフォームとなって進化

▼マグロ専門仲卸大手のやま幸が、青森県大間産212キログラムのマグロを1匹3604万円の最高値で落札

▼オープンした大阪の鮨店がギネス挑戦の20貫35万コースを提供

日本の鮨店は「飯炊き3年、握り8年」や「シャリ炊き3年、合わせ5年、握り一生」などといわれており、一人前になるには10年近くを覚悟するものです。しかし海外でミシュランガイドで星を獲得する「鮨 銀座 おのでら」はその常識を打ち破り、3年目からの若手が握る鮨店を開業しました。その一方で、マグロの初競りの価格は最高値を更新し、大阪ではギネスに挑戦するという35万円の超高級コースを提供する鮨店がオープン。

回転寿司は海外ではさらに柔軟に受け入れられています。「シャリと何かのネタを合わせた食べ物をメインとし、目の前でつくるか、レーンに流す」というプラットフォームになっており、レーンの色がピンクであったり、スタッフがカラフルなコスチュームを着用していたりと、もはや回っていれば何でもアリという状況です。

世界に飛び出した鮨と寿司は、本物が求められる超高級な鮨店、および、エンターテインメント感覚で進化する回転寿司店へと、国内外で多様化しています。今後どのような寿司店および鮨店が登場するのか、ますます想像がつきません。

【この記事は、Yahoo!ニュース エキスパート オーサー編集部とオーサーが共同で企画したキュレーション記事です。キュレーション記事は、ひとつのテーマに関連する複数の記事をオーサーが選び、まとめたものです】

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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