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命を守る緊急浮き具で緊急安全確保の具体的方法 動画付き

斎藤秀俊水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授
リュックサック1個の緊急浮き具を使った浮き方(筆者撮影)

 各地で緊急安全確保、そして河川氾濫が報告されています。万が一逃げ遅れてもう後がない時、緊急浮き具を使った救助の待ち方について説明します。浸水の中で浮くことになったら使う最終手段です。

 命を守る行動に活用してください。水が来ていない今、イメージトレーニングをして心の準備をしてください。

【参考】 洪水から命を守る、早めの避難 闇夜の避難には慎重な判断を

 緊急浮き具には厚手のジャケットをそのまま着る方法、リュックサックの中に着替えやタオルをたくさん入れる方法とがあります。この2つを組み合わせるとさらに水に浮くことができます。図1に作り方を示します。

図1 緊急浮き具の作り方(筆者撮影)
図1 緊急浮き具の作り方(筆者撮影)

リュックサック1個

 カバー写真に掲載の通り、前方にかついで、背浮きになり、両手でしっかりとリュックサックを抱いてください。たいへん安定した状態で長時間浮き続けることができます。これで呼吸を確保して、救助を待っていてください。

 動画1はリュックサック1個で浮いて救助を待つ方法を示しています。少々の洪水の流れの中であれば、安定して背浮きをすることができます。陸上からロープで助けを受けることができます。

動画1 リュックサック1個で浮いて救助を待つ方法(筆者撮影、1分09秒)

リュックサック2個

 図2のように胸と背中にかつぎます。水に入ってしまったら、図3のように垂直に立ったような状態で浮くことができます。顔全体が安定して水面にでます。周囲を確認しながら、呼吸を確保して救助を待っていてください。

図2 緊急浮き具リュックサック2個のかつぎかた(筆者撮影)
図2 緊急浮き具リュックサック2個のかつぎかた(筆者撮影)

図3 緊急浮き具  リュックサック2個を使った浮き方(筆者撮影)
図3 緊急浮き具 リュックサック2個を使った浮き方(筆者撮影)

厚手のジャケット

 図4のように脚を少し曲げて、背浮きの状態で呼吸の確保を行います。例では靴を履いていませんが、靴は履いてください。靴の浮力も使えば図3の状態でさらに安定して浮くことができます。この姿勢で、救助を待っていてください。

図4 緊急浮き具 厚手のジャケットを利用した浮き方(筆者撮影)
図4 緊急浮き具 厚手のジャケットを利用した浮き方(筆者撮影)

まとめ

 緊急浮き具は、浸水する前から準備して、避難途中や水が迫ってきた時に、身に着けてください。そして、命を守ってください。

水難学者/工学者 長岡技術科学大学大学院教授

ういてまて。救助技術がどんなに優れていても、要救助者が浮いて呼吸を確保できなければ水難からの生還は難しい。要救助側の命を守る考え方が「ういてまて」です。浮き輪を使おうが救命胴衣を着装してようが単純な背浮きであろうが、浮いて呼吸を確保し救助を待てた人が水難事故から生還できます。水難学者であると同時に工学者(材料工学)です。水難事故・偽装事件の解析実績多数。風呂から海まで水や雪氷にまつわる事故・事件、津波大雨災害、船舶事故、工学的要素があればなおさらのこのような話題を実験・現場第一主義に徹し提供していきます。オーサー大賞2021受賞。講演会・取材承ります。連絡先 jimu@uitemate.jp

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