Yahoo!ニュース

『東京タワー周辺を時空旅行』航空写真で見る戦後から令和までの街並み変化

栗栖成之防災士ライター
出典:PhotoAC

国土交通省が提供する「重ねるハザードマップ」は、全国の洪水・内水、土砂災害、高潮、津波の各ハザードマップを確認できます。

さらに、このハザードマップを使って「戦後から令和までの航空写真」による、時空旅行を楽しめることを知っていましたか?

今回は実際に、戦後から令和までの東京タワー周辺の時空旅行を、一緒に楽しみましょう。

1945(昭和20年)~1950年(昭和25年)|東京タワー建設予定地

出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真
出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真

写真中央の赤い「+」マークが、現在の東京タワーの位置に当たりますが、この写真は戦後間もない時代の航空写真であり、東京タワーの基礎なども見当たりません。

東京タワーの着工は1957年(昭和32年)9月21日に塔脚第一柱を設置し、定礎式を執り行っています。

そのためこの写真は東京タワー着工前の写真であり、流石に東京の街並みとはいえませんね。しかし、写真左上にある建物は現在の「麻布台ヒルズ郵便局」の前身である、麻布郵便局が健在しています。

1961(昭和36年)~1964(昭和39年)|1958年(昭和33年)竣工の東京タワーが見える!

出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真
出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真

この写真では1958年(昭和33年)12月23日に竣工した、できたての東京タワーの姿を中央にしっかり確認できます。

また、現在の「東京プリンスホテル」の建設予定地が、更地になっていく様子も伺えます。国道1号線や周辺道路もしっかり整備され、交通の便がよくなっている様子も分かりますよね。

東京プリンスホテルは1964年創業であるため、この写真はこれより以前の1961~1962年当時であると推測できます。

このように、現存する歴史ある建物の創業と併せて読み解くと、いつの写真か推測できる面白さがあると思いませんか。

1974(昭和49年)~1978年(昭和53年)|カラー写真になり街として復興している

出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真
出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真

この時代になると航空写真もカラーとなり、東京タワーの南には一世を風靡した「タワーボウル」も建設されています。

東京プリンスホテルも稼働しており、すぐ南に位置する場所には、浄土宗七大本山のひとつであり徳川家の菩提寺として2代秀忠公はじめ、6人の将軍が眠る「増上寺」も建立されているのが分かります。

1979(昭和54年)~1983年(昭和58年)|芝給水公園や各芝公園の原型が完成

出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真
出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真

この航空写真は先の時代よりも色があせた感じがするため、古く感じますが間違いなく先よりも新しい航空写真です。違いは写真上の①~④でも分かります。

各箇所を前述の写真と比較すると、お分かりいただけるでしょう。

①:霊友会釈迦殿が完成
②:芝給水所公園に芝生がある
③:現メソニック38MTビル建設中
④:現プリンス芝公園の原型が完成

1984(昭和59年)~1986年(昭和61年)|街並みが刻々と変わる

出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真
出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真

この時代では、芝給水所公園に芝生が一旦剥がされて更地になっています。また、すぐ東隣の「現芝中学校・芝高等学校」のトラックが完成。

さらに、建築中だった「現メソニック38MTビル」も完成し、多くのビルが立ち並ぶ風景に変わってきています。

最新の航空写真|2019年時点と推定!

出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真
出典:ハザードマップポータルサイト 重ねるハザードマップ東京タワー周辺 航空写真

これが現在一番新しい航空写真で、ハザードマップ上では「最新2007年~」と表示されています。しかし、写真左上にこれまで建っていた「麻布郵便局」が解体され、更地になっていますよね。

解体は2019年(令和元年)8月30日工期だったことから、2019年9月ごろに撮影されたと推測できます。

最新の航空写真は「オルソ画像」が使われている!

これまでの航空写真と、最新の航空写真の一番の違いは何か分かるでしょうか?

答えは、真上から見たひずみのない写真になっている点です!これまでの航空写真は、東京タワーや隣の現メソニック38MTビルが、斜めに写っています。

しかし、最新の航空写真はオルソ画像と呼ばれる写真で、真上から見た「正射投影」となり、精度の高い写真になっているのです。

この航空写真は座標のひずみがないことから、ハザードマップに適しており、各自治体でハザードマップを作成する際は、必ず正射投影されたオルソ画像を使用します。

このオルソ画像については、また後日詳しくお伝えするとしましょう。

航空写真の表示方法は次の手順でOK!

出典:ハザードマップポータルサイトを筆者加工
出典:ハザードマップポータルサイトを筆者加工

今回は戦後から令和までの、東京タワー周辺の街並の変化を「重ねるハザードマップ」の航空写真によって、時空旅行して見ていきました。

誰もが分かりやすいように「東京タワー周辺」を選びましたが、ご自身の自宅や実家、気になるところなどを、時代を遡って確認できます。

もしかすると、転居する予定の土地が昔は川だった。なんてことも分かるため、新居のリスク判断にも役立ちますよ。

時空旅行に興味のある方はぜひ「重ねるハザードマップ」で、確認してみてください。

重ねるハザードマップのポータルサイトは、ここからアクセス可能です!

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

栗栖成之の最近の記事