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作戦的にもっとワクワクするエンタメ性溢れるサッカーを。それができる環境がいまの日本代表には整っている

杉山茂樹スポーツライター
古橋亨梧、伊藤洋輝&菅原由勢(写真:岸本勉/PICSPORT)

 ガンバ大阪のホーム、パナソニックスタジアム吹田は眺望のよいスタジアムとして知られる。名古屋グランパスのホーム、豊田スタジアムしかり。ご承知の通り、6月15日、20日の両日、日本代表はそれぞれのスタジアムでエルサルバドル、ペルーと親善試合を行った。

 結果は6-0と4-1。エルサルバドル戦の結果は、相手が早々に退場者を出したことと深い関係がある。どう評価すべきか難しい試合だが、日本のサッカーが単純に見ていて面白かったことも事実である。レベルはともかくエンタメ性には富んでいた。ところがスタンドは埋まらなかった。チケットは完売したと聞かされていたが、空席が目立った。

 ペルー戦はさらに面白かった。相手がエルサルバドルより少しばかり強かったこともある。スコアは4-1と開いたが、ボール支配率ではペルーの方が上回ったほどだ。エンタメ性十分。日本代表戦をこれまで500試合前後は観戦してきたが、その中でも最上位にランクされそうな一戦だった。ところが豊田スタジアム同様、パナソニックスタジアム吹田のスタンドも、完売という触れ込みだったにもかかわらず埋まらなかった。

名波コーチと森保監督(写真:岸本勉/PICSPORT)
名波コーチと森保監督(写真:岸本勉/PICSPORT)

 ともに大きなスタンドではない。豊田が4.5万人収容で吹田が4万人だ。日本代表の人気が心配になる。完売にもかかわらず空席が目立った理由は、招待券が多く出回っていて、せっかく手にしてもスタジアムに来なかった人が多かったからだろう。

 テレビの視聴率はエルサルバドル戦が9.6%で、ペルー戦が12%だった。多いのか少ないのか、視聴率の概念が不透明になっている昨今だが、エンタメ性の高い試合だった割には振るわなかったと見ていい。

 もっと多くの人に見てもらいたい試合だった。前回のこの欄でも述べたが、カタールW杯を経てメンバーの充実ぶりは顕著になっている。史上最高かと言いたくなるほど粒は揃っている。穴がないのでサッカーそのものが面白い。日本代表は贔屓目抜きによい時代を迎えていると考えるが、残念ながらその魅力が十分伝わっているようには思えない。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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