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ストーンズを探せ。森保ジャパンがマンチェスター・シティから学びたい縦への流動性

杉山茂樹スポーツライター
(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

 欧州の2022-23シーズン。最も印象に残る試合はチャンピオンズリーグ準決勝マンチェスター・シティ対レアルマドリードの第2戦だ。マドリードで行われた初戦を1-1で折り返した、そのリターンマッチである。

 結果は4-0。マンチェスター・シティの大勝に終わったが、この一戦を語る時に外せないのは、試合の形勢を分けることになった先制点のシーンになる。右ウイングのベルナルド・シルバがシュートに至るまで、その一連のパスワークには主に以下の5人が絡んでいた。

 ロドリ→ベルナルド・シルバ→ジョン・ストーンズ→カイル・ウォーカー→ケヴィン・デブライネ→ベルナルド・シルバ。

 ロドリ(守備的MF=アンカー)のパスを右ウイングの位置で受けたベルナルド・シルバ(右ウイング)は、さらにその前方のライン沿いで開いて構えるストーンズにパスを預けた。と同時にベルナルド・シルバは内にポジションを移動。瞬間、マンチェスター・シティの右サイドには、ウォーカー(右SB)、ストーンズ、ベルナルド・シルバ、そしてデブライネ(右インサイドハーフ)の4人が4角形を形成するポジションを取った。

 レアル・マドリードに対して数的有利な状況を作り出していた。3角形ならば数的同数だった。4角形であるところがミソだった。4人目として加わっていたのが本来センターバック(CB)のストーンズであることも忘れてはならない。

 相手ボール時は右CBとしてプレーするが、マイボールに転じると同時に、守備的MFのラインまでポジションを上げる。マンチェスター・シティはストーンズの上下動で4-3-3(4-1-4-1)から3-4-3(3-2-4-1)に、あるいはその逆に姿を変えた。

 一言でいえば3バックと4バックの可変式布陣。CBがマイボールに転じるや右ウイングの位置まで移動することは難しいが、守備的MFのポジションとしてボールに絡み、そのパスワークの流れで移動すれば息は弾みにくい。

 サイドはある意味で安全ゾーンだ。片側がタッチラインなので相手のプレッシャーは片側からしか掛からない。360度、四方からプレッシャーを浴びるピッチの中央に比べ、ボールを失うリスクが低い。先述した4対3の関係ならば、数字以上に優位性を発揮できる。そこに基点を築き数的有利な状況を作れば、質の高い攻撃を安全に行うことができる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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