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外野手2人と一塁手を獲得し、9年ぶりのポストシーズンをめざす。トレード・デッドラインは1ヵ月前だが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
ロビー・グロスマン Jul 24, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月31日、カンザスシティ・ロイヤルズは、2人の外野手、ロビー・グロスマントミー・ファムを、それぞれ、テキサス・レンジャーズとセントルイス・カーディナルスから手に入れた。

 さらに、金銭トレードにより、アトランタ・ブレーブスからユリ・グリエルを獲得したようだ。ニューヨーク・ポストのジョン・ヘイマンらが、そう報じている。

 グロスマンとファムは、ウェーバーにかけられていた。グリエルは、ブレーブス傘下のAAAでプレーしていて、今シーズンのメジャーリーグ出場はない。トレード・デッドラインが過ぎてから、すでに1ヵ月経っているが、ウェーバー公示中の選手を入手することはできる。また、グリエルは、40人ロースターに入っていなかったので、デッドライン後もトレードは可能だった。

 現在、ロイヤルズは、2人の野手、ライトを守っていたハンター・レンフローと一塁手のビニー・パスクィンティーノを欠いている。右の太腿裏を痛めたレンフローは、うまくいけば9月初旬に戻ってくるだろうが、走者と交錯して右手の親指を骨折したパスクィンティーノは、少なくともレギュラーシーズンの残りを欠場することになりそうだ。

 2015年のワールドシリーズ優勝を最後に、ロイヤルズは、ポストシーズンから遠ざかっている。2016~23年は勝ち越したシーズンもなく、2018~19年と昨シーズンは100敗以上を喫した。だが、今シーズンは、ここまで75勝61敗。ワイルドカード・レースの2位に位置し――ポストシーズン進出は3位まで――地区優勝の可能性もある。ア・リーグ中地区の順位も2位。上にいるクリーブランド・ガーディアンズとの差は、2.5ゲームだ。

 今シーズン、グロスマンとファムがチームメイトとなるのは2度目。グロスマンは、5月初旬にシカゴ・ホワイトソックスからレンジャーズへ移った(「前年の優勝メンバーをトレードで呼び戻す。OPSは.600未満だが…」)。ファムは、7月下旬の三角トレードでホワイトソックスからカーディナルスへ移籍した(「ドジャースが三角トレードで得たのは、100マイル超のリリーフ投手とここまで全休の野手に17歳の投手」)。

 グロスマンは、2チームで計71試合に出場し、打率.227と出塁率.333、3本塁打、OPS.657。左投手に対しては、出塁率.387を記録している。ファムは、2チームの計93試合で、打率.254と出塁率.321、7本塁打、OPS.698だ。

 グリエルは、AAAの75試合で、打率.292と出塁率.378、12本塁打、OPS.863。7月以降の30試合は、打率.357と出塁率.452、7本塁打、OPS1.069だ。在籍しているのがブレーブスでなければ、メジャーリーグに昇格していたかもしれない。ブレーブスの一塁とDHには、マット・オルソンマーセル・オズーナがいる。

 なお、グロスマン、ファン、グリエルの3人とも、ロイヤルズがポストシーズンに進出した場合は、そのロースターに入ることができる。9月以降に入団した選手は、その年のポストシーズンには出場できない。

 昨年、グロスマンとファムは、それぞれ、レンジャーズとアリゾナ・ダイヤモンドバックスの選手として、初めてワールドシリーズでプレーした。グリエルのワールドシリーズ出場は、ヒューストン・アストロズ時代に4度を数える。2017年と2019年、2021~22年がそうだ。その1度目と4度目は、優勝メンバーとなっている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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