北朝鮮兵の犠牲を尻目に…特権層は「個室温泉で性びん乱」のやり放題
慢性的な経済難の中、ロシアからの支援を対価に兵士の「輸出」すら始めた北朝鮮。しかし国内では、一部の特権層のやりたい放題が続いている。
北朝鮮には様々な温泉があり、静養所、休養所、療養所と呼ばれる旧ソ連型リゾートやサナトリウムが設置されている。これらに対して10月中旬から大々的な検閲(監査)が行われている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。
検閲は、「静養所、休養所、療養所での性びん乱や薬物濫用が目に余る」という訴えが朝鮮労働党中央委員会(中央党)に届いたことが直接のきっかけで行われた。
静養所、休養所、療養所は表向き国営ということになっているが、国からの予算が全く来ないため、トンジュ(金主、ニューリッチ)に運営権を販売して運営させたり、地方幹部自らが運営して予算調達を図ったりしている。
労働者がこれら施設を利用するには、申し込んで順番を待ち、チケットが回ってきたらようやく利用できるという形だったが、現在では各施設が1枚2万北朝鮮ウォン(約200円)から4万北朝鮮ウォン(約400円)のチケットを販売している。運営費を調達するために一種の「VIPルーム」を作り、一般のチケットでは享受できない特別サービスも提供して、トンジュなど富裕層に販売しているのだ。
このようなVIPルームで行われているのが売春や違法薬物の濫用だ。
(参考記事:コンドーム着用はゼロ…「売春」と「薬物」で破滅する北朝鮮の女性たち)
カネとコネを併せ持つ人々がこのような閉鎖された空間に入り浸り、庶民には許されない行為を行ってきた。
「療養所は幹部だけが利用するものという認識がある。(咸鏡北道の)鏡城(キョンソン)に住んでいても、(地元の)金正淑療養所を利用する機会は回ってこない」
告発を受けて、ついに中央党が摘発に乗り出した。違反者にはかなり重い処分が下されると見られている。
「今回の検閲で見せしめとして引っかかれば、解任、撤職だけでは済まされないと言われている」(情報筋)
(参考記事:北朝鮮の15歳少女「見せしめ強制体験」の生々しい場面)
場所を提供する側の静養所、休養所、療養所の幹部も、利用する側の幹部、トンジュも震え上がっている。ただ、一般住民の間では恨み混じりの諦めに近い感覚が漂っている。
「すべての検閲がそうであるように、結局はワイロでもみ消されるだろうという意見が圧倒的だ」(情報筋)
本来の目的通りに一般住民もリゾートを楽しみ、温泉を利用できたらいいというのが、情報筋の伝える地元住民の声だ。