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同じ高校の男子生徒と交際していた19歳女性職員が懲戒処分に…何が問題だった?

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:イメージマート)

 北海道の道立高校で勤務している19歳の女性職員に対して北海道教育委員会が下した減給の懲戒処分が話題だ。交際していた同じ高校の男子生徒と手をつないだり、抱き合ったりしていたという。ネット上では「教職員と生徒の恋愛は立場上許されない」「年齢差がないなら恋愛は許される」といった声が上がっている。

 懲戒処分は11月7日付であり、報道によれば次のような事案である。

「男子生徒が、女性職員と交際している様子がわかる画像などをSNSで発信したことから学校内で話題となり、学校が女性職員を問いただしたところ、交際を認めたということです」

「道教委は、男子生徒の学年や年齢を明らかにしていません」

「道教委は、女性職員の行為が信用失墜にあたるとして、減給10分の1、1か月の懲戒処分としました」

HBC北海道放送 2024/11/9(土)

問題は不適切な「身体接触」

 懲戒処分に際して問題となるのは、「交際」よりもむしろ「身体接触」の方だ。地方公務員法では、非違行為に及んだ職員に対して免職や停職、減給、戒告といった懲戒処分を下すことが可能となっている。しかし、「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合」と抽象的な規定なので、各自治体の条例などでその判断基準が詳しく定められている。道教委にも「懲戒処分の指針」と題する基準がある。

 これによると、児童や生徒に対する行為かそれ以外の者に対する行為かで処分の軽重をつけている。例えば、自校か他校かを問わず、児童や生徒に対して不同意わいせつや買春、淫行などの重大な法令違反に及んだ場合は免職だ。着用済みの下着を買い受けたり、卑わいな言動をしたり、セクハラに及んだりしたら免職か停職になる。

 一方、「交際」については懲戒処分の理由として挙げられていないが、性的な行為と受け取られる不適切な「身体接触」に及んだ場合、停職か減給か戒告になると定められている。

 具体的な懲戒処分の内容は、動機や態様、結果、故意・過失の程度、児童生徒や保護者、道民らに与えた影響、その職員の職責の程度、日頃の勤務態度や非違行為後の対応、過去の非違行為歴などを総合的に考慮した上で判断するとされている。今回の女性職員も、こうした事情を踏まえ、停職、減給、戒告のうち、減給10分の1、1か月という懲戒処分が選択された。

 なお、この女性職員と同じく11月7日付で道教委から懲戒処分を下された教職員の内訳をみると、マイカーを運転中、法定速度が時速60kmの道路を104kmで走行した小学校の男性教諭が減給10分の1、1か月という懲戒処分を受けている。女性職員の非違行為に対する道教委の評価は、このスピード違反と同程度ということになるだろう。(了)

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

元特捜部主任検事の被疑者ノート

税込1,100円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

15年間の現職中、特捜部に所属すること9年。重要供述を引き出す「割り屋」として数々の著名事件で関係者の取調べを担当し、捜査を取りまとめる主任検事を務めた。のみならず、逆に自ら取調べを受け、訴追され、服役し、証人として証言するといった特異な経験もした。証拠改ざん事件による電撃逮捕から5年。当時連日記載していた日誌に基づき、捜査や刑事裁判、拘置所や刑務所の裏の裏を独自の視点でリアルに示す。

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