【NHL】「氷上の格闘技」と呼ばれるアイスホッケーの最高峰で、最も長い出場停止処分を受けた選手は?
今月6日に行われた「日本大学 vs 関西学院大学」のアメリカンフットボールの定期戦での危険なプレーに関し、多くのスポーツファンやメディアからの注目が集まる中、関学大が今日の午後に開いた会見で、日大の回答書を不服とし、24日までに追加の回答を求める意向を示したそうです。
アメリカンフットボールと同様に選手が防具をつけてプレーに臨み、激しいボディコンタクトが当たり前のアイスホッケーでも、行き過ぎたボディチェックなどの危険なプレーによって、出場停止処分を受けた選手が見られます。
▼NHLで最も長い出場停止処分を受けた選手は?
”アイスホッケーの最高峰”「NHL」は、1917年の創設以来、101季目(労使交渉が決裂しシーズンフルキャンセルの年も含む)の戦いが続いていますが、これまでに最も長い出場停止処分を受けた選手は、ビリー・クゥートゥ(元ボストン ブルーインズDF・故人)です。
モントリオール カナディアンズから移籍してきたクゥートゥは、DFながら高い攻撃力を有し、ボストンでも主力選手として活躍していました。
しかし、移籍初年度(1926-27シーズン)のプレーオフ・ファイナルで、レフェリーに暴行を働き、「生涯出場停止処分」に!
ところが、後になって、この行為がアート・ロスヘッドコーチ兼GMの指示によるものだったことが明らかに。
これを受けて、「2年半の出場停止」に処分が軽減されましたが、クゥートゥは再びNHLでプレーすることなく、自らのキャリアにピリオドを打ちました。
▼NHLは重いペナルティが減少
近年のNHLでは、クゥートゥのような重いペナルティを科せられるケースは、減少傾向だと言えますが、その事実に至った経緯を振り返りましょう。
1990年代の半ば以降、NHLでは各チームがサイズの大きな選手を登用するようになりました。
選手たちは、自らのサイズを武器に激しいボディチェックを披露して、レギュラーポジションを勝ち取ろうとアピール。
しかし、それが行き過ぎたプレーにつながり、脳震盪(のうしんとう)を発症する選手が相次ぐ要因になったのです。
その代表格は、 エリック・リンドロス(45歳・元フィラデルフィア フライヤーズFW)。
NHLの全チームで永久欠番となっている背番号「99」をつけてプレーした ウェイン・グレツキー(57歳・現オイラーズ エンターテイメントグループ副チェアマン)の後継者と称されながら、リンドロスは脳震盪に苦しみ、34歳でリタイアを余儀なくされてしまうことに・・・。
NHLはこのような事例を重要視して、2000年代に入ってから、頭部へのチェックなど危険度の高いプレーに対し、それまでに増して重いペナルティを科すようになりました。
これがNHL全体の流れを変える契機となり、ファイティング(選手同士の殴り合い)のペナルティも減少してきているのです。
この流れを追い風に、昨季のハートトロフィー(レギュラーシーズンMVP)を受賞したコナー・マクデイビッド(エドモントン オイラーズFW・21歳)に代表される、プレーとスケーティングのスピードに長けた選手が、近年は各チームの主力として台頭!
その反面、かつては「ポリスマン」と呼ばれ、スター選手を守る役割を担うサイズが大きいだけの選手が、ポジションを得るのは容易でなくなってきました。
▼近年最長は「41試合出場停止」
重いペナルティが減少してきた近年のNHLで、最も長い出場停止処分を受けたのが、ラフィ・トーレス(36歳・元サンノゼ シャークスFW)。
一昨季に相手選手の頭部へチェックをしたため、レギュラーシーズンの半分にあたる「41試合出場停止」処分に!
最初に紹介したクゥートゥのような「生涯出場停止処分」を除き、期間が定められた事例では、「NHL史上最長の出場停止」の裁定が下されました。
トーレスは出場停止処分が解けたあと、NHLの一つ下のAHLのアフィリエイトチーム(サンノゼ バラクーダ)で復帰を果たし、再びNHLでのプレーを目指しましたが、その希望はかなわず、ペナルティを犯した試合がNHLラストゲームになってしまいました。