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2014年、カジノ合法化にとって勝負の年

木曽崇国際カジノ研究所・所長

さて、年明け最初の更新となります。

2013年は、臨時国会の終了直前に駆け込みで我が国のカジノ導入を推進する法律、IR推進法案が国会上程されました。本格的論戦が始まるであろう本年は、我が国のカジノ合法化にとっては勝負の年となるわけですが、本日は年初らしく「2014年、カジノ合法化に関する注目点」をご紹介したいと思います。

1. 法案審議

なによりも「現在提出されている法案の審議がいつはじまり、いつ決裁されるのか」に全ての注目が集まります。今月後半からはじまる通常国会ですが、4月中旬までは予算関連法案の審議が先行するのが国会のルールですので、どんなに早くとも法案審議は4月の後半からとなります。現時点で「票読み」をする限りは、本法案を共同提出した自民、維新、生活の三党および、すでに200名を超えた超党派議員連盟のメンバーが存在していますので(一部重複アリ)、法案可決に向けて非常にポジティブな環境ではあります。しかし、政権与党の一角を担う公明党が慎重論を発していることもあり、自民党側もあまり拙速な結論は出せないものと思われます。様々な審議事項がある中で、十分な審議時間を通常国会期間中に確保できるかどうかが焦点となります。

2. カジノ合法化に伴う各種社会コスト対策

これは、当ブログ上で何度も繰り返し述べてきたことですが、上記の法案審議に入る大前提としてカジノ合法化に伴う各種社会コスト対策に関する検討は不可欠となるでしょう。そもそも、安倍政権は昨年6月に発表した「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」の中で、以下のような行動計画を示しています。

観光立国実現に向けたアクション・プログラム

http://blog.livedoor.jp/takashikiso_casino/archives/8038921.html

(4)IR

○統合型リゾート(IR)について、IR推進法案の制定の前提となる犯罪防止・治安維持、青少年の健全育成、依存症防止などの観点から問題を生じさせないために必要な制度上の措置の検討を関係府省庁において進める。

上記文書は、安倍内閣の閣議決定によって定められた行動計画書において示されているもの。識者の中にはこの行動計画を軽視するような発言をする者も居ますが、それは大きな間違いです。上に示されている内容は政権による明確なコミットメントですから、これらも同様に進める必要があります。関係府省庁の動きに注目です。

3. 各地方自治体の動き

最後に必要となるのが各地方自治体の動きです。昨年の年末に、以下のような大阪府の動きが報じられました。

五輪までにカジノ誘致の実現を 大阪府市が準備会合

http://www.nishinippon.co.jp/nnp/lifestyle/article/59982

大阪府と大阪市は、カジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致を推進するため「府市IR準備会議」を設置、24日に初会合を府庁で開いた。本部長の松井一郎知事は会合後、20年開催の東京五輪までに誘致を実現させたいと記者団に強調。松井氏は「五輪開催地の東京だけでは宿泊施設が足りない。観戦客は大阪のIRで楽しんでもらい、東京へ行く。そうなれば最高だ」と語った。

大阪は、橋下府知事時代からカジノの導入に向けて動く自治体の中の急先鋒ですが、同様の動きはすでに全国に広がっており、本年においてどの自治体がより具体的な計画としてそれを成就させるのかに注目が集まります。その中でも特に必要となると思われるのが、議会によるIR導入の推進決議。現在の各自治体の動きは殆どが役所主導のものであって(もしくは首長主導というべきか?)、未だ地方議会からの支持を受けて動いている自治体はそれほど多くありません。「議会からの付託を受けること」は、今後のカジノの誘致競争においては非常に重要な要素のひとつとなります。

という事で、上記あたりが今年の注目ポイントとなりますが、今年一年のカジノ合法化論議の進展を祈念して、新年のご挨拶とさせて頂きたいと思います。改めまして、本年もヨロシクお願い申し上げます。

国際カジノ研究所・所長

日本で数少ないカジノの専門研究者。ネバダ大学ラスベガス校ホテル経営学部卒(カジノ経営学専攻)。米国大手カジノ事業者グループでの内部監査職を経て、帰国。2004年、エンタテインメントビジネス総合研究所へ入社し、翌2005年には早稲田大学アミューズメント総合研究所へ一部出向。2011年に国際カジノ研究所を設立し、所長へ就任。9月26日に新刊「日本版カジノのすべて」を発売。

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