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記憶や脳萎縮に改善効果【コグニサイズ】とは?国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防体操

こんにちは。認知症の支援サポーター『夢 はるか』です。

春から夏へ、少し汗ばむ日差しの中、思わず体を動かしたくなる季節になりましたね。

以前に、認知症予防に効果的な運動の種類とやり方をご紹介しました。

有酸素運動(からだ全体を使って一定時間継続的に行う運動)や、レジスタンストレーニング(筋肉に負荷をかける動きをくり返し行う運動)は、認知症予防に効果的な運動です。

そして、それらと他の課題を組み合わせることによって、さらなる効果が発揮されるという内容でした。

今日ご紹介するコグニサイズは、国立長寿医療研究センターが開発した、運動と計算・しりとりなどの認知課題を組み合わせた、認知症予防のための運動です。

コグニサイズを対象にした研究では、全体的な認知機能や、言語流暢性に加え、個別の運動だけでは有効性が確認されていない、記憶脳委縮に対する改善効果が認められています。

昔は、いったん失われた脳の機能は回復しないと言われていましたが、決してそうではないことがわかってきたのです。

コグニサイズとは

cognicise(コグニサイズ)は、cognition(認知)とexercise(運動)を組み合わせた造語です。

からだを使う【運動課題】と、あたまを使う【認知課題】を同時に行います。

MCI(認知症ではないが正常とも言えない状態)の段階で、「コグニサイズ」を実施することで、認知機能の低下を抑制することが明らかにされています。

以下に自宅で始められるコグニサイズの例を、イラストを交えて具体的に紹介します。

頭と体を同時に使う

【運動課題】全身を使い軽く息が弾む程度の、脈拍数が増えるような運動

【認知課題】たまに間違える程度の難易度が少し高めのもの

この二つの課題を、その人のレベルに合わせて選択します。

たとえば、以下のような課題なら自宅ですぐに始められるでしょう。

  • 数を数えながら、足踏みをする。
  • 引き算をしながら、少し早足でウォーキングをする。
  • しりとりをしながら、踏み台昇降をする。

むしろ間違えたほうがいい!

上手にできないからといって、やめる必要はありません。

むしろ、間違えながら続けるほうがいいのです。

コグニサイズの目的は、課題をクリアすることではありません。

少し難しい課題にチャレンジし続けることで、脳の活性化を促すのです。

ちょっと難しくてちょっと間違えるくらいがちょうどいいのですね。

あまり真剣になりすぎないで、自分の間違いを笑い飛ばしながら続けられる課題を見つけられたらいいですね。

そして、間違えずにできるようになったら、課題をステップアップするタイミングです。

次に取り組む内容を自分で考えることも、頭のトレーニングになりますね。

まとめと注意点

コグニサイズを始めるにあたって、注意点があります。

ふだん運動習慣のない人が、いきなり息の上がるような運動をするのは危険です。

まずは、いつもの生活の中で、頭と体の組み合わせ運動を始めてみましょう。

椅子に座って足踏みしながら…

ゆっくりと散歩をしながら…

階段を上り下りしながら…

できることから始めてみませんか?

まずは実践!認知症予防の第一歩を踏み出しましょう。

介護福祉士として通所介護(老人デイサービスセンター)や訪問介護(ホームヘルパー)の現場で働いてきました。研究会での発表や、学術誌へのケースレポートの投稿なども積極的に行なっています。また、子どもの頃から好きだった漫画やイラストを描くことで、認知症の知識や介護のコツをわかりやすく伝えることを心がけています。

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