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白物家電の出荷減少――消費シフトの影響と未来への提案

坂口孝則コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家
家電は売上が下がったほうが社会的ではないかと矛盾をはらみます(写真:アフロ)

日本電機工業会によると、昨年度の国内白物家電市場は前年比2.4%減の2兆5245億円に落ち込みました。エアコンや冷蔵庫などが含まれるこの市場の落ち込みは、2年ぶりのマイナス成長。消費の旅行や外食へのシフト、さらには物価の上昇に伴う節約志向の強まりが背景にあると分析されています。

調達・サプライチェーン観点からの読み解き

この市場動向は、家電量販店などの小売店からすれば調達戦略にも影響を与えています。消費者の節約志向が強まる中で、家電製品の価格競争は更に激化。製造業者はコスト削減を求められ、それがサプライチェーン全体に圧力をかけています。また、消費のシフトは製品のライフサイクルにも影響し、家電メーカーからすれば新しい製品の開発や既存製品の改善が急務となっているんですよねえ。

サプライチェーン観点からの提案

家電メーカーは、消費者が「価値ある購入」と感じるような製品価値の向上を図るしかないんですよね。また、リサイクルやアップサイクルを促進することで、資源の有効活用と環境への配慮を示すことが、消費者にとって魅力的なポイントになるでしょうね。だって家電メーカーは節資源やSDGsを訴えてきました。

デジタルトランスフォーメーションを推進し、消費者との直接的なコミュニケーションを強化することで、市場のニーズに迅速に対応できる体制を整えることが重要です。

家電メーカーの矛盾

この市場の減少は、一見してネガティブな影響のみのように思えますが、実は持続可能な消費へのシフトとも捉えられます。

消費者が無駄を省き、より環境に優しい選択をすることは、地球環境への配慮として評価すべき点です。大きな皮肉ではありますよね。売れなくなるのが社会的だってことですから。

ただ、自ら宣言した以上、この観点から、企業はエコフレンドリーな製品の開発を進め、市場の回復を目指すべきです。

コメンテーター。調達コンサル、サプライチェーン講師、講演家

テレビ・ラジオコメンテーター(レギュラーは日テレ「スッキリ!!」等)。大学卒業後、電機メーカー、自動車メーカーで調達・購買業務、原価企画に従事。その後、コンサルタントとしてサプライチェーン革新や小売業改革などに携わる。現在は未来調達研究所株式会社取締役。調達・購買業務コンサルタント、サプライチェーン学講師、講演家。製品原価・コスト分野の専門家。「ほんとうの調達・購買・資材理論」主宰。『調達・購買の教科書』(日刊工業新聞社)、『調達力・購買力の基礎を身につける本』(日刊工業新聞社)、『牛丼一杯の儲けは9円』(幻冬舎新書)、『モチベーションで仕事はできない』(ベスト新書)など著書27作

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