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江戸で最も愛されたお菓子「塩瀬の蒸し饅頭」を実食してみた

濱田浩一郎歴史家・作家

東京都中央区明石町に店を構えるのが、塩瀬総本家という和菓子屋さんです。同店HPによると、店の創業は「貞和5年」(1349年)というから驚きです。貞和5年というと、日本においては南北朝時代の真っ只中。同年、初代の林浄因が中国より来日し、奈良に住んで、日本で初めて餡入りの饅頭を作り、売り出したのが始まりとされています。饅頭屋の塩瀬は、宮中や将軍家に出入りを許され、とても繁盛したようです。

元来、京都に店を構えていた塩瀬でしたが、江戸時代には江戸にも出店。日本橋に店を出して、江戸城の御用を承ったといいます。そうした由緒ある塩瀬総本家。同店を訪れてみて、私の目をひいたのは、包装紙に「江戸で最も愛されたお菓子」と書かれた「塩瀬の蒸し饅頭」(4個入りで756円)です。この蒸し饅頭は江戸時代の名物番付誌の菓子部門において1位を獲得したとのこと。

そんな江戸名物のお饅頭の食べ方は少し独特。底面トレーに大さじ一杯の水を入れ、電子レンジで加熱する。その底面トレーに饅頭の入った内トレーをセットして、蓋を少し開けた状態でもう一度、電子レンジで温める。レンジから取り出して、1分か2分ほど蓋を被せた状態で置き、蒸気を吸わせてから頂くのです。ちょっとした理科の実験をしているようで楽しかったです。お味の方は、餡子が程よい甘さでとても美味しかったです。饅頭が温かいうちに食べるのがお勧めですね。日本で初めて餡が入った饅頭を創作したお店だけあって、私は塩瀬総本家の餡子に惹きつけられました。興味のある方は、是非、食してみてください。

歴史家・作家

1983年生まれ、兵庫県相生市出身。皇學館大学文学部卒業、皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『北条義時』『仇討ちはいかに禁止されたか?』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)ほか著書多数

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