ギャンブル依存対策の「基本的な考え方」について
我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入を実現するIR実施法の大まかな概要が与党間で確認され、今月中にも法案が国会提出されるであろうところまで至っています。この報道を受けて、昨今、しきりに報じられ始めたのが、「週3回、月10回の入場上限」「入場料6000円」などIR実施法案の定める入場規制の方向性に対して「それでは依存対策にならない」といった反対派の論調。以下、類似する報道一覧です。
賭博罪・ギャンブル依存…カジノ法案、問題点どう解決?(朝日新聞)
カジノ与党合意 国民の懸念に応えたのか(西日本新聞)
カジノ法案 疑問だらけの与党合意(北海道新聞)
回数制限で闇カジノが栄える? 依存症対策の有効性は(日経スタイル)
こういう論調を取ってその施策の効果を疑問視する人達が共通して「勘違い」していることは、IR実施法は原則的に我が国のカジノ合法化と統合型リゾート導入の方策を定める法律であって、我が国のギャンブル依存対策そのものを定める法律ではないということ。我が国のギャンブル依存対策は、2016年12月に設置されたギャンブル等依存対策推進関係閣僚会議を中心に、カジノのみならずギャンブル等依存に関与する全ての省庁責任部局を集めた会合で包括的な対策案が1年がかりで作成され、その一部は既に実行に移されています。
また、法案としては昨年11月に自民/公明が共同して作成したギャンブル等依存対策基本法案が既に国会に提出されており、それに引き続く形で提出へと至ったのが今回報じられているIR実施法案であるわけです。即ち、政府のギャンブル依存対策の有効性を語るのであれば、むしろその本丸である政府が既に定めている施策案や、別途提出されているギャンブル等依存対策基本法案などの存在を前提として論議を行わなければならない。逆にいうならば、IR実施法案の定める「週3回、月10回の入場上限」で依存症が防げるだの防げないだのと表層的な論議に始終することには、何も意味はありません。
という事で、ギャンブル依存対策の不備やその必要性を本気で訴えたいのなら、まずもって現在整備が予定されている対策の形を「正しく」理解した上で論議をして頂きたいと思うところ。少なくとも、以下二つのリンク先くらいは読んだ上で、それを語って頂ければ幸いです。