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新入社員の「鼻につく言い方」トップ10

横山信弘経営コラムニスト
これは自分がやる仕事ではありません……。(写真:イメージマート)

「まだ新人なので」と言い訳をする部下。「自分なりに努力しています」と反論する新入社員。このような言葉を聞くたびに、多くの上司はイラっとするだろう。なぜなら「鼻につく」からだ。

言葉の選び方一つで人の印象は大きく変わる。たとえ正論であっても、言い方によっては強い反感を買うものだ。

今回は、鼻につく新入社員の言い方を「トップ10形式」で解説する(ランキングは単なる私見)。新入社員を受け入れる職場の責任者はもちろんのこと、入社1年目の社員研修を担当する方々も、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■そもそも鼻につく言い方とは?

鼻につく言い方とは、それ自体は正しい主張であっても、聞き手に不快感を与える表現のことだ。たとえば「まだ新人なので」という言葉は、たしかに事実であり、理解を求める意図も分かる。しかし、この言葉を聞いた上司は「言い訳をしている」と受け止めるだろう。

新入社員に期待しているからこそ、このような言葉を聞くとイラっとする。そして「もう少し別の言い方があるだろう」と感じるのだ。

それでは私が独断と偏見で選んだトップ10を紹介しよう。

■鼻につく言い方トップ10

・「まだ新人なので。分からないのは当たり前だと思います」

何か指摘されたときや失敗したときの言い訳としてよく使われる。たしかに経験は浅いが、それを理由にする態度は成長意欲が低いと思われるだろう。「分からないのは当たり前」と開き直らず、新人だからこそ謙虚に学ぶ姿勢を見せるべきだ。

・「自分なりに努力してますけど。努力しないほうがいいんですか?」

上司から叱責されたときに反論する際に使う。「自分なりにやってる」「自分のできる範囲で努力してる」と言うのは、謙虚さが足りない証拠。基本は守破離だ。指示に従わず成果を出さなければ、努力の方向性が間違っていると思われる。

・「それって面と向かって言うことじゃないでしょ。メールでよくないですか?」

上司から「ちょっと話があるから来てほしい」と声をかけられたときの返答だ。たしかにメールのほうが時間の節約になるが、リアルで話をすることで伝わるニュアンスもある。とくに関係性ができていない時はリアルコミュニケーションは重要だ。この言葉は「上司と話すのが面倒くさい」という気持ちの表れに聞こえてしまう。

・「自分の時間も大事なんで。ワークライフバランスって言うじゃないですか」

残業を頼まれたときや休日出勤の要請があったときの断り文句。もちろんワークライフバランスは大切だ。不誠実な業務以来を受ける必要はない。しかし仕事の責任を果たすために必要な業務であれば、どう解決すべきか自分自身も考えるべきだろう。

・「それは前から決まっているんですか? ルールブックはどこにあります?」

判断を求められたとき、自分で考えるのを避けようとする発言だ。このような言い方をしていると、マニュアル通りにしか動けない人材だと思われてしまう可能性がある。なんでもかんでもルールブックに掲載されているわけではない。自分で状況判断すべきときは、まず自分で考え、その上で分からないことがあれば質問する姿勢が望ましい。

・「全然傾聴してくれないんですね。てっきりサーバントリーダーシップの時代だと思ってました」

上司の指示や指摘を受けたときの反発する言葉だ。昨今のビジネス用語に詳しいことをアピールしているが、上司の感情を逆撫でするような言い方だ。建設的な対話を避けているようにも見えてしまう。そもそもサーバントリーダーシップは「意識が高く、有能な部下」に効果的なリーダーシップのスタイルであり、新入社員には向かない。

・「意見って言っちゃダメなんだ。うちの組織って心理的安全性、低いですね」

意見が採用されなかったときの言い訳として使う。これも流行のビジネス用語を使ってアピールするから、よけい鼻につく。「新人なんだから黙ってろ」と高圧的な態度をされたのならともかく、意見が通らなかっただけで「心理的安全性が低い」とレッテルを貼るべきではないだろう。このような発言は、むしろ組織の空気を悪くする。

・「これって私がやるよりも、生成AIに任せたほうがいいですよね」

面倒な作業を任されたときの逃げ口上だ。たしかにAIの活用は重要だが、それを理由に仕事を拒否するような印象を与えては信頼を失う。まずは自分で取り組む姿勢を見せるべきだ。そうでないと本人がAIに置換されてしまう。

・「このやり方、古いですよ。DXの時代なんだから」

従来のやり方について指導されたときの反論として使う。デジタル化は大切だが、それを理由に従来のやり方を否定すると、経験者の知恵を軽視していると受け取られてしまう。ビジネスの世界も「不易流行」である。本当に新しいテクノロジーを採用したほうが生産性が高くなるのか、一緒に考える姿勢が必要だ。

・「これは自分がやる仕事ではありません。企業説明会のときジョブ型の働き方にするって聞きました」

想定外の仕事を頼まれたときの断り文句だ。採用時の説明と現実のギャップを指摘するのではなく、自分の役割を理解する努力をすべきだ。チームの一員として柔軟に対応する姿勢も必要である。そうでないと仕事を任されなくなり、成長の機会が摘まれてしまう。

■謙虚に学ぶ姿勢を持つことが大前提

言葉の選び方一つで、印象は大きく変わる。

たとえ正しい主張であっても、相手の立場を考えない言い方では、むしろ反感を買うだけだ。キャリアは誰でも最初は新人から始まる。多少面倒だな、理不尽だなと思っても、経験を積むうえである程度のラインで受け入れていこう。

大切なのは、経験を積みながら学ぼうとする姿勢である。実際に経験することで「意外とアナログのほうが効率的かも」「ワークライフバランスを意識するには、まず仕事の責任を果たしてからだな」と謙虚に受け止められるようになる。

常に学ぶ気持ちがあれば、おのずと適切な言葉が選べるはずである。

(※もちろんすべて上司、会社の言いなりになればいいということではない)

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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