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提示された「3億5000万ドル」の延長契約を断る。希望額は史上2人目の4億ドル!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)Sep 15, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロックアウトに入る前に、ホアン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)は、球団から13年3億5000万ドルの延長契約を申し出られ、それを断った。ESPNのエンリケ・ロハスに対し、ソト自身が認めたという。記事には、そのコメントも掲載されている。

 総額3億5000万ドル以上の契約を得たメジャーリーガーは、これまでに2人しかいない。マイク・トラウト(ロサンゼルス・エンジェルス)とムーキー・ベッツ(ロサンゼルス・ドジャース)がそうだ。

 トラウトは、2019年の開幕前に、12年4億2650万ドルの延長契約を手にした。その5年前に交わした6年1億4450万ドルの延長契約は、あと2年分が残っていたが、それを置き換えた。それぞれの契約期間は、2015~20年と2019~30年だ。

 ベッツは、2020年の開幕直前に、12年3億6500万ドル(2021~32年)の延長契約を交わした。こちらは、シーズン終了後にFAとなる予定だった。ドジャースは、この年の2月にボストン・レッドソックスからベッツ(とデビッド・プライス)を獲得した。トレードの時点で、ドジャースがベッツの契約を延長するつもりでいたことは、想像に難くない。

 今後、ナショナルズの動きは、以下の3つが考えられる。金額を上積みした契約をソト(と代理人のスコット・ボラス)に申し出る、FAとなる前にトレードでソトを放出する、FAとなるまでソトを保有する、だ。このままいくと、ソトは2024年のシーズン終了後にFAとなる。トレードの場合、ソトを獲得した球団は、契約を延長しようとするだろう。ドジャースがベッツにそうしたのと、同じパターンだ。

 昨年11月に「トラウトに続いて「4億ドル以上」の大型契約を得るのは、大谷ではなくこの選手!?」で書いたとおり、ソトがトラウトとベッツに匹敵する契約を手にする可能性は、かなり高いと見る。

 トラウトがセンターを定位置としていて、ベッツがライトとセンターを守るのに対し、ソトのポジションはレフトあるいはライトだ。けれども、メジャーデビューからここまでの4シーズンにソトが記録した、出塁率.432とOPS.981は、2人の最初の4シーズンを上回る。トラウト(2011~14年)は出塁率.395とOPS.945、ベッツ(2014~17年)は出塁率.351とOPS.839だった。それぞれのホームランは、ソトとトラウトがともに98本、ベッツは78本だ(盗塁は、トラウトが102、ベッツが80、ソトは32)。

 ちなみに、3億5000万ドル以上の契約がスタートする直前の4シーズンは、トラウト(2015~18年)が出塁率.435とOPS1.031、142本塁打と87盗塁、ベッツ(2017~20年)は出塁率.386とOPS.925、101本塁打と82盗塁だ。これらと比べると、ソトの出塁率とOPSは、トラウトには及ばないものの、出塁率はほぼ同じ。どちらのスタッツも、ベッツを凌ぐ。

 また、それぞれの契約1年目の年齢(6月30日時点)は、2019年のトラウトが27歳、2021年のベッツが28歳だったのに対し、ソトは、契約1年目が2025年の場合でも26歳なので、2人よりも若い。年齢は、球団が長期の契約を申し出る(あるいは申し出を見送る)際の大きなファクターとなる。

【追記】タイトルを訂正しました。史上初(誤)→史上2人目(正)です。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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