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シーズン防御率0.61のクローザーがポストシーズンは防御率10.29。違う投手を抑えに起用する!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
エマニュエル・クラッセ(クリーブランド・ガーディアンズ)Oct 18, 2024(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 エマニュエル・クラッセは、クリーブランド・ガーディアンズのガーディアン(守護神)だ。

 ここ3シーズンとも、セーブ王のタイトルを獲得しているだけではない。今シーズンは、74登板の74.1イニングで防御率0.61。47セーブを挙げ、セーブ失敗は3度しかなく、成功率94.0%を記録した。

 1シーズンに50イニング以上を投げ、防御率0.70未満の投手は、今シーズンのクラッセが史上4人目だ。それについては、シーズン終盤にこちらで書いた。

「史上4人目の50イニング以上で防御率0.70未満となるか。ここまでは69.1イニングで防御率0.65」

 だが、ここまでのポストシーズンは、まるで別人。6登板中4登板で点を取られている。そのうちの3登板は、2失点以上だ。7.0イニングで8失点(自責点8)、防御率は10.29。レギュラーシーズンの被本塁打2本に対し、ポストシーズンの被本塁打はすでに3本を数える。

 ディビジョン・シリーズの第2戦は、0対0の9回表に登板し、2死からのシングル・ヒット2本に続き、ケリー・カーペンター(デトロイト・タイガース)にホームランを打たれた。第4戦は、5アウト・セーブを記録したが、9回裏に1失点。1点差に詰め寄られた。

 第5戦は、6人に対して投げ、全員をアウトに仕留めた。けれども、復調には至っていない。

 リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、2登板とも2失点。第3戦は、8回表の2死一塁から投げ、最初の2人、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジジャンカルロ・スタントンに続けてホームラン――同点2ランと逆転ソロ――を喫した。続いて、同点の9回表に登板した第4戦は、先頭打者2人にシングル・ヒットを打たれ、盗塁と三振を挟み、遊撃手のエラーとシングル・ヒットで1点ずつ取られた。

 それでも、ガーディアンズは、第3戦に勝った。9回裏にジャンケンジー・ノエルのホームランで追いつき、10回裏にデビッド・フライのホームランでサヨナラ勝ちを収めた。一方、第4戦は、9回裏の1死一、二塁から得点できず、6対8で敗れた。

 10月19日(日本時間20日)に行われる第5戦も、その前の2試合と同じような終盤にもつれる展開となった場合、スティーブン・ボート監督は、クラッセを起用するのかどうかの決断を迫られる。ガーディアンズは、ここまで1勝3敗だ。第5戦に負けると、ポストシーズンから姿を消す。

 ガーディアンズは、クラッセの他に、今シーズン、40イニング以上を投げて防御率1.95未満の投手を4人擁する。ハンター・ギャディスが78登板の74.2イニングで防御率1.57、ケイド・スミスが74登板の75.1イニングで防御率1.91、ティム・ヘリンが75登板の65.2イニングで防御率1.92、イーライ・モーガンは32登板の42.0イニングで防御率1.93を記録した。

 4人とも、このシリーズの4試合中3試合に登板している。いずれも、第2戦と第3戦と第4戦に投げた。ギャディスとスミスは、被本塁打が1本ずつ。ギャディスはジャッジ、スミスはスタントンに打たれている。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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