【目黒区】未来のシェフを応援する「スカラ 中目黒」で、「和」を感じる極上のフレンチコースを楽しむ
年齢を重ねるとともに、フレンチのフルコースはちょっと重いなと感じている今日この頃。
しかし、今回ご紹介する中目黒にあるフレンチレストラン「Schola(スカラ)」は、そんな私でも最後の最後までおいしくいただけたモダンフレンチコースを楽しめるお店。
そして、未来のシェフを育てる料理学校・研修施設でもあるため、お財布にとっても優しいお値段なんです。
クリスマスのディナーとして実際に足を運んできましたのでご紹介していきましょう。
2023年12月8日(金)に誕生したばかり、フレンチレストラン兼研修施設「スカラ」
「スカラ」をプロデュースしているのは、各地でお料理教室を運営するシェフクリエイト合同会社。代表・フレンチ講師を務めている日吉瑞己(ひよし みずき)さんがプロデュースしている他、5色の冷凍カレー「グラフィカリー」のレシピ開発を担当された近藤潤(こんどう じゅん)さんもこのプロジェクトに参画しています。
「スカラ」がある場所は中目黒駅から徒歩約8分。山手通りと目黒川に挟まれた少し路地裏のようなロケーションです。
通り沿いにふくろうのマークと店名「Schola」と入ったサインがありますので、こちらを目印に来店くださいね。
「スカラ」では1メニュー、ディナー1回転のみの営業
研修施設でもある「スカラ」が提供するのは、19時同時スタートのおまかせディナーコース1種類。お食事できるのは1回転だけで21時30分には営業終了です。
コース内容はアミューズからスタートし、最後のプティフールまでの全9品・9,900円(税込、2023年12月現在)となっています。
お店の厨房に立つのは、これから料理人として独り立ちしていく、シェフクリエイトの生徒さんたち。
料理長兼調理サービスプログラム講師を務める日吉瑞己さんに優しく見守られながら提供するモダンフレンチコースです。
私たちが訪問した日は、若き女性の料理人が2人、キッチンで奮闘していらっしゃいました。
席数はカウンター10席、テーブル4席、緊張感とライブ感のあるオープンキッチンです。樹齢400年のクスノキから切り出した1枚板のカウンターや、国産ケヤキを使用し、繊細な曲げ加工を施した椅子などなど。
天然の木材を生かしたカジュアルさと、壁・床に使用したグレーのコントラストで高級感のあるシックなインテリアに仕上げた店内となっています。
2か月ごとにメニュー内容が変わる「スカラ」のモダンフレンチコース
2023年12月19日(火)のメニューは以下の通り。
- アミューズ ブーシュ(ひとくちのお楽しみ):鮟肝・柚子・あおさ海苔
- アントレ・フロワード(冷前菜):帆立・カリフラワー・アーモンドミルク
- アントレ・ショード(温前菜)その1:ポワロ―・牛蒡・チーズケーキ
- アントレ・ショード(温前菜)その2:白子・バジル・カルダモン
- ポワソン(魚料理):鮟鱇・羅臼昆布
- ヴィヤンドゥ(肉料理):吉田さんの本州鹿
- サムシングスペシャル:???
- デザート:カカオ・発酵ブラックベリー
- ディジェスチフ(アフターディナードリンク):カモミール・エルダーフラワー・林檎
将来独立開業を目指す研修生と一緒に料理を考案し、作り上げ、提供する「スカラ」。メニュー内容は2か月ごとに変わるということなので、再訪する楽しみがあります。
今回はお料理に合わせたワインとのペアリン(6,600円・税込、2023年12月現在)でフレンチコースを楽しませていただきました。
「アミューズ ブーシュ」×「シャンパーニュ・カステルノー」でスタート
「アミューズ ブーシュ」は和の素材を使った目にもアートな一皿。鮟肝の上にジュレ、柚子風味のシートが重ねられています。
焼き海苔のようにシート状に成型されたあおさ海苔を見るのは初めて。海苔を立てる土台となっているのはジャガイモのピュレで、こちらも食べることができます。
ふんわりと鼻に抜ける柚子の香りが素晴らしく、鮟肝の濃厚さとのバランスが絶妙です。パリパリのあおさ海苔もいい香り。
こちらに合わせるワインがゴールドに輝く「シャンパーニュ・カステルノー エクストラ・ブリュット」。
長期瓶内熟成を経てリリースされるカステルノーは、シャンパーニュの平均的な熟成期間のおよそ2倍という非常に贅沢な造りを実現しています。
ワイン監修はJ.S.A.ソムリエ・エクセレンスの常盤努さん。
ベルギーのレストラン、フランスのワイナリー等にて計5年間修業。「ベージュアランデュカス東京」「ケンゾーエステイトワイナリー」「L’AS/CORK」等でシェフソムリエ、マネージャーを歴任された経歴の持ち主です。
「スカラ」では常盤さん監修による、コース料理に合わせた至高のマリアージュを堪能できます。
シャンパンは「アントレ・フロワード(冷前菜)」とも好相性
続いて提供されたのがアントレ・フロワード(冷前菜)。生の帆立と薄くスライスした生のカリフラワー、アーモンドミルク・春菊のソースで仕上げています。
盛り付けもエレガント。生クリームや牛乳ではなく、アーモンドミルクを使っているので後味もすっきりです。
帆立本来の味わいを引き出しつつ、ソースとのコンビネーションも最高。
「シャンパーニュ・カステルノー エクストラ・ブリュッ」はすっきりドライな味わいながら果実味もしっかりと感じられ、少し温度が上がってくるとトーストのような香ばしさ、シャープさも味わえました。
「アントレ・ショード(温前菜)」×「アルシミスト・ロゼ・ドライ・ワイン ドメーヌ・スクラヴォス」
温めた器で提供されてきたアントレ・ショード(温前菜)、合わせるのはギリシャのロゼワイン「アルシミスト・ロゼ・ドライ・ワイン ドメーヌ・スクラヴォス」です。
太くて短く、肉厚なネギ「ポワロ―(西洋ネギ)」を使った一皿。
ポワロ―はやわらかく甘味があり、加熱するとさらに甘味が引き立ちます。こちらにチーズケーキを合わせ、パリパリに仕上げた牛蒡をトッピング。
牛蒡の土くささとほどよい苦味が全体を引き締めます。
ペアリングした「アルシミスト・ロゼ・ドライ・ワイン ドメーヌ・スクラヴォス」は、ギリシャ・ケファロニア島のロゼワインです。ロゼといってもかなり赤い色。
辛口ですがほどよい酸味と甘みでお料理とのバランスが良いワインです。使用しているぶどうがギリシャで栽培されている黒ぶどう品種「マヴロダフネ」。
いちごジャムのようなフルーティさやハーブのようなスパイス感、ミネラル感など、全体としてフレッシュな印象を受けました。
ちなみに「スカラ」で使われている器、鉢は瀬川辰馬さん、小鉢は二階堂明弘さん、片口は小野澤弘一さんというようにお料理とともにその魅力を引き立たせるものを吟味。
提供される一皿一皿が、絵画のようで目を楽しませてくれました。
この後、お楽しみのサプライズメニュー1品目が登場。想像のはるか上を行く一皿です。
皆さんもぜひ楽しみにしていてくださいね。
「アントレ・ショード(温前菜)の2皿目」×「テルラーン ゲヴェルツトラミネール」
続いて登場したアントレ・ショード(温前菜)の2皿目は、白子をフライにしたもの。芽キャベツとミント、カルダモンなどが添えられています。
外側はサクっと、内側はとろりととろけるような白子が絶品。後から爽やかなミント、甘くてスパイシーなカルダモンが追いかけてきます。
芽キャベツはあまり好んで食べないのですが、これはおいしい。上手に素材の魅力を引き出していて感動しました。
合わせたワインはイタリアの「テルラーン ゲヴェルツトラミネール」。
レモンイエロー色でフルーティフローラルな香り。酸味もほどよく、スパイシーな味付けのお料理にも合いそうです。
「ポワソン(魚料理)」×「ラフィーユ 樽甲州」
メインのお魚料理は鮟鱇のソテー。鮟鱇というと鍋料理ぐらいしか思いつかないですが、こんな食べ方もあるのですね。
目の前でソースをかけて仕上げてくださいました。こんなライブ感あふれる演出も嬉しい!
火は通しすぎず、ふわりと口の中で溶けていくような食感。濃厚でコクとうま味が詰まった鮟鱇の味わいがシンプルに感じられます。
ワインは日本最古のワイナリー・まるき葡萄酒株式会社の「ラフィーユ 樽甲州」です。
厳選した峡東地区の甲州をを使用し、フレンチオーク樽で発酵、熟成させた辛口の白ワイン。
柑橘の香りと上品な酸、濃厚な鮟鱇の後味を爽やかに、華やかに引き立たせてくれました。
「ヴィヤンドゥ(肉料理)」×「キャンティ クラッシコ リゼルヴァ 2018 ビッビアーノ」
メインの肉料理は吉田さんの本州鹿。埼玉県・横瀬町にある株式会社カリラボ代表である吉田隼介さんが提供するジビエ肉です。
捕獲から精肉行程まで徹底したこだわりと、独自の熟成管理で最高品質のジビエ肉を提供していることから、プロの料理人から圧倒的な支持を受けています。
2種類の異なる部位を使用し、味付けは最低限。ともかくジューシーでやわらかく、ジビエ特有の臭みなどは一切ありません。
ソースには少し鹿の血を混ぜているそう。お皿に添えられている黒いペーストはニンニクで、味変しながら楽しみました。
ペアリングするワインは「キャンティ クラッシコ リゼルヴァ 2018 ビッビアーノ」、赤ワインです。ぶどう品種はサンジョヴェーゼで酸味や渋みがしっかりしているのが特徴。
サワーチェリーやプラムなどの果実味、スミレやローズマリーなどの香りなど、あまり重くなり過ぎないミディアムボディの味わいです。
そしてこの後、2回目のサプライズメニューが提供されました。こちらのお料理は日吉さんが料理人を目指すきっかけとなったものだそうです。
「こうきたか!」と思わず声を上げてしまうような内容。こちらもぜひお楽しみに!
デザート×「シャトー・ヴィラン ヴァン・キュイ」
実はアイスクリーム、出来立てがとてもおいしいのだと日吉さん。その味をぜひ体験してほしいということで、提供してくださいました。
甘さ控えめ、柑橘の苦味を活かしたソースでいただくアイスクリームはなめらかな舌触りと極上の口どけ。さっぱりとしながらも、コクも感じるおいしさでした。
そして、カカオと発酵ブラックベリーのタルト。甘さ控えめでカカオのホロ苦さを活かした絶品デザートです。
合わせるのは甘口のワイン「シャトー・ヴィラン ヴァン・キュイ」。濃縮されたような甘味はありますが、しつこさはなく、チョコレートによく合います。
葡萄果汁を沸騰直前の温度で煮詰めて水分を飛ばし、糖度を高めて仕込んだ、プロヴァンス地方の贅沢、かつ、希少なデザートワインです。
コースの最後を締めくくるのはカモミール・エルダーフラワー・林檎のお茶。お料理の余韻を残しつつ、お酒の酔いを優しく包み込んでくれました。
「シェフクリエイト」は、お料理がちゃんと上手になることに特化した料理教室
「シェフクリエイト」のお料理教室は独特で、特定のレシピの作り方を学ぶのではなく、料理がちゃんと上手になることに特化しています。
プロの料理人がお店や調理の現場で培った料理の知識や技術を、感覚的な表現をできるだけ排除し、理論的に教えること。これを集中的に行うことで、ごく短時間で料理上達を実現します。
一般では10年かかるプロの料理技術を4カ月で習得できるということで話題に。現在は東京都内で2拠点(恵比寿、自由が丘)、神奈川県で1拠点(横浜日本大通り)、福岡県で1拠点(天神)にてレッスンを開催中。
約10年間で300名以上の卒業生を輩出してきました。
「スカラ」は料理学校が長年培ってきた知識と技術を結集した「フレンチレストラン」であり、実践形式で料理人を育成する「教育機関」という2つの機能を兼ね備えた「シェフクリエイト」の新しいチャレンジ。
お客さんはおいしいフレンチをリーズナブルに堪能することで、未来の料理人を育てる手助けができる、という素敵なレストランが中目黒に誕生したというわけです。
お店のオペレーションが落ち着くまで、しばらくは日曜・月曜がお休みですが、不定休でお休みになる場合もあるそうです。お店は完全予約制なので、営業日を確認の上、おでかけください。
ソースや味付けが重いというイメージのフレンチですが、「スカラ」の場合は和の食や味付けなどを上手に取り入れ、素材そのものの味わいやうま味を上手に引き出したお料理。日本の四季も感じられる内容でした。
研修施設とはいえ、元ミシュラン星獲得系列店の料理人や、RED U-35ブロンズ獲得者のプロ講師陣が参画。質の高さは保証付きです。
ぜひ、未来の料理人たちが腕を磨いていくプロセスを楽しみながら応援してみてはいかがでしょうか。
■取材協力
【店舗概要】
Schola(スカラ)
営業時間:19時~21時30分、日曜・月曜休み
※コースは19時から一斉スタート(10分前までのご来店をお願いします)
※不定休でお休みをする場合があります
住所:東京都目黒区青葉台1-25-10 バウ青葉台2階
<完全予約制>予約ページはこちら≫