【どっちが大変?】屁理屈の多い部下と理屈っぽい部下
職場の人間関係は難しい。とくに上司の立場になると、様々な個性の部下を抱えることになる。その中でも特に頭を悩ませるのが、屁理屈が多い部下と理屈っぽい部下だ。
このような部下を持つと、上司は本当に大変だ。叱ればへそを曲げるし、放っておけば仕事が進まない。かといって、いちいち相手をしていると自分の仕事が回らなくなる。
今回は、そんな悩める上司たちに向けて書いた。特に若手の管理職や、初めて部下を持った人たちにぜひ読んでもらいたい。厄介な部下との付き合い方を学ぶことで、職場の雰囲気が良くなり、仕事の効率も上がるはずだ。
■屁理屈と理屈、その違いとは?
さて屁理屈と理屈とは何が違うのだろうか?
屁理屈とは、理屈に合っていないこと、つまりこじつけや詭弁、言い訳のようなものを指す。論理的な思考が欠ける人が、自分の都合のいいように解釈して言い訳するときに屁理屈を言う。
それでは、屁理屈の典型的な例を見てみよう。まず、子どもが親に宿題をやらない理由として使う屁理屈の例だ。
「ゲームばかりやってないで、宿題やりなさい」
「お兄ちゃんにやってもらう。先生は自分でやれとは言ってないから」
「そんなの屁理屈でしょ!」
屁理屈が問題なのは、逃げずに従わない根拠を言ってくることだ。だから言われたほうがイラっとする。腹が立つのだ。「宿題やりなさい」と言って、
「あとでやる」
「このゲームが終わってから」
「明日の朝、早く起きてやるから」
と言われたほうが、まだましだ。歯向かってはこないからだ。次に、職場で部下が提出資料の期限を守らない理由として上司に話す屁理屈の例を見てみよう。
「なぜ資料が期限までに提出できなかったんだ?」
「提出しようと思ったら、今すぐできますが」
「でも、まだ完成していないだろう」
「期日までに完成した資料を提出するとは約束していません」
こんなことを部下に言われたら、多くの上司はイライラするだろう。「そんな屁理屈、言うな!」と返したくなるはずだ。まだ次のように言い訳をしてくれたほうが、ましである。
「他の仕事が忙しくて、時間がとれませんでした」
「完璧な資料を作ろうと思ったら、時間がかかってしまって……」
屁理屈ばかり言う人は、自分の落ち度や責任を認めたくないという心理が働いている。こういう部下がいると建設的な対話ができなくなり、上司は苦労することだろう。
■理屈っぽい部下の特徴と付き合い方
次に、理屈っぽい人の特徴を見てみよう。詳しくは以下の記事に書いている。ぜひ参考にしてもらいたい。
<参考記事>
理屈っぽい人は、屁理屈ばかり言う人とは異なる。論理思考力が高く、認知バイアスにかかりにくいことが特徴だ。しかし、それゆえに人の気持ちが分からないことがある。まるでコンピュータか、ロボットのようなのだ。
「今期の方針は値上げだったはず。なのにA社へは値引きしていますよね?」
「A社は昔からの付き合いだから……」
「昔からの付き合いがあるお客様には値引きしていいのですか? 何年の付き合いですか?」
「いや、そこは臨機応変に対応してくれ」
「臨機応変ってどういうことですか?」
組織全体を統括するリーダーにとっては、このように融通がきかないメンバーがいると頭が痛い。
「説明しなくても分かるだろう?」
「分かりませんが」
「部長の案件なんだ。察してくれよ」
理屈っぽい人は察することができない。「現状維持バイアス」にかかっている上司とかにも容赦しない。
「昔ながらのやり方に固執せず、はやくデジタルに慣れてください」
「50歳も超えると、なかなか難しいんだよ」
「50歳を超えるとデジタルリテラシーが減る根拠って何ですか?」
このように、配慮せず「0」か「1」かで判断することが多いので、苦労する上司も多いことだろう。
ただし、理屈っぽい人にも良い面がある。いったん理屈で理解すれば、すぐに行動を起こす。その点ではコンピュータやロボットに似ている。論理的に説明さえすれば、粘り強く仕事をこなしてくれる。
■上司のタイプで変わる、厄介な部下との付き合い方
さて屁理屈の多い部下と理屈っぽい部下、どちらが大変だろうか?
結論から言えば、どちらも大変だ。しかし上司のタイプによって違いが出るだろう。
上司が感覚的なタイプなら、理屈っぽい部下のほうが大変に違いない。なぜなら、感覚的な上司の指示は曖昧になりがちだ。「なんとなくこんな感じでやってくれ」といった指示を理屈っぽい部下は理解できない。「具体的に何をすればいいのですか?」「定量的に表現してくれないと分かりません」と言い返される。上司はイライラするだろう。
逆に、論理思考力が高い上司なら、屁理屈が多い部下のほうが大変だ。なぜなら、屁理屈は論理的に破綻している。それを論理的な上司は許せない。「なぜそう考えるんだ?」「その言い方は筋が通らないだろう」と問い詰めたくなるだろう。上司はストレスがたまる一方だ。
そのため、上司は自分のタイプを知ることが大切だ。感覚的なタイプなら、もう少し論理的に考える努力をしよう。論理的なタイプなら、時には感覚的な判断も必要だと心に留めておくのだ。
部下のタイプに合わせて接し方を変える。話し方を変える。そうすることで自分自身も成長できる。厄介な部下がいても、それを成長の機会と捉えよう。
<参考記事>