Yahoo!ニュース

ノート(216) 陸山会事件の補充尋問で裁判官が関心を示した事項とは

前田恒彦元特捜部主任検事
(写真:アフロ)

~続・工場編(9)

受刑234/384日目(続)

左陪席による「深掘り」

 弁護人による反対尋問が終わると、そのままの流れで裁判所による補充尋問が行われた。

 繰り返しになるが、裁判官は、主尋問や反対尋問を経たうえで特に関心や疑問を抱いている事柄に絞って証人に補充尋問を行う。何をどのように尋ねたかによって、彼らの心証や判決文に盛り込まれるテーマなどをうかがい知ることができる。

 まず、左陪席の裁判官からは、元公設第一秘書が一番最初に自白に至った経緯や、その際の自白の中身、例えば具体的にどのような言葉遣いだったのかとか、どのような言い回しだったのかについて確認された。

 これらは検察官役の指定弁護士による主尋問や弁護側の反対尋問の中でも時間を割いて取り上げられていたテーマだった。左陪席はその「上塗り」により僕の証言を固めるだけでなく、さらに「深掘り」することで信用性まで高めようとしているものと思われた。

この記事は有料です。
元特捜部主任検事の被疑者ノートのバックナンバーをお申し込みください。

元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

前田恒彦の最近の記事