横浜DeNAベイスターズの山本祐大が結婚! 最愛の人に最高の姿を見せる
■12月19日に婚姻届を提出
横浜DeNAベイスターズの山本祐大選手が人生の伴侶とともに歩み出した。
12月19日、二人で婚姻届を提出したというその報告は、師走の寒さを和らげてくれる、ほっこりと温かいものだった。
今季は自己最多の71試合に出場。チームの捕手最多の67試合でマスクをかぶり、ここ2年課題と言われ続けた打撃でも打率.277、3本塁打、16打点と自己最高成績を収めた。東克樹投手の最多勝などをアシストし、一緒に最優秀バッテリー賞にも輝いた。
この活躍のかげには、支えてくれる大きな存在があったのだ。
■理想どおりの人がいた
「ひと目惚れみたいなところから僕は始まった」。照れくさそうに話す山本選手。出会いは2021年の12月、知人の紹介だった。
第一印象の「きれいな人やな」から始まり、そのたたずまいや醸し出す空気感に惹かれた。しっかりしているようで、そういう場には不慣れな初々しさが好印象で、なにより初対面の自分に対する距離感がほどよく、それが自然で心地よかった。
また、お店の人への応対の仕方にも好感が持て、「自分が考えていた理想どおりの人がいた、みたいな感じ」だった。
2度目に会ったときにはさらに惹かれ、確信した。「この人だ」と。その日、「気持ちを伝えたいなと思って、解散するときに告白しました」と即、行動した。ただ、1月の自主トレに発つ直前で、返事は帰ってからもらうことにした。
というのもお相手は6歳年上で、「僕と違って向こうはやっぱり結婚も考えないといけない年。簡単には付き合えないだろうから、しっかり考えて決めてほしい」と、自分なりに考慮してのことだった。
自主トレではとことん野球に没頭し、帰っていよいよ返事を聞いた。
「実はふられると思ってたんです。僕もそんな会話をうまくリードできてたりとか、女性に対して慣れてるわけじゃない。話してて楽しんでくれてるんかなとか思いながらだったんで、オッケーしてもらえる手応えはまったくなくて…」。
自信がなかっただけに「ビックリした」が、素直に嬉しかった。
■野球に集中できる環境を作ってくれる
それからはお互いの家を行き来したり、オフには出かけたりして、順調に愛を育んだ。「付き合っていくうちに、やっぱりこの人と結婚したいなっていうのが日に日に強くなった」と、今年4月からは一緒に暮らし始めた。
「野球に集中させてくれるというのが、僕の中ですごくでかい」。
今季の活躍を見れば、彼女の支えがいかに大きかったか、推して知るべしだ。
試合でうまくいかずネガティブになったとき、「持って帰っちゃってたんです、とくに前半戦は」と、落ち込んだまま帰ってくる自分をポジティブな言葉で前を向かせてくれた。
「野球は詳しくないんですけど、やっぱり楽しくやらないとっていう話をされて、『楽しそうにやってる姿を見るほうが、こっちも楽しいし』と。たしかにそうやなと思えた」。
そうしているうち、「持ち帰る必要ないな。切り替えて球場に置いていこう」と自身の中でも変化していき、後半戦に入るころにはオンオフのスイッチングもうまくなった。彼女が自然とそうさせてくれたのだ。
また、「『野球は知らなくても、ファンがこうされたら嬉しいってことはわかるよ』って言うんです」と“ファン目線”でのアドバイスもくれる。
たとえば、登板後にいつも「祐大のおかげです」と言ってくれる東投手との仲のよさはよく知られているところだが、「『もっとイチャイチャしたら』って(笑)。ファンが見てくれる職業なので、そうやって喜んでもらうのも大事なんじゃないのって」と、“プロデュース力”も発揮してくれている。
アスリートにとって重要な食事面も万全だ。手料理はどれもおいしいが、「僕、ご飯(白米)が進む食べものが好きなんで(笑)。麻婆ナスとかグラタンとか、めっちゃおいしいです」と舌鼓を打つ。もちろん栄養バランスもしっかり考えた上で食卓に並べてくれる。
「家事全般もだし、お金の管理とか面倒なこととかも『こういうふうにしたらいいんじゃない』と、やりながら教えてくれる。僕はただ野球を頑張るだけ」。
なにごとも安心して任せられる。
「けんかもしょっちゅうしますね」と笑うが、「キホン、僕が悪いんで…」と最終的には殊勝に謝って解決する。二人の間の流れもすでに構築されている。
ポジティブでしっかりしていて、家庭的。そんな彼女のサポートに応えて野球で結果を出し、それによって彼女を喜ばせることができていると、好循環しているのが伝わってくる。
■108本の赤い薔薇の花束
今年8月、1か月間だけ彼女が里帰りしたときのことだ。出場機会が増えてきた中で山本選手は、家事もひとりでこなさねばならなかった。
「何もできへんと思われたらよくないから、頑張ろうとしたけど…大変でした」と苦笑する。かつて一人暮らしをしていたころは自分でしていたのに、「あれ?こんなやってたっけ?みたいな感じで」と苦労した。
彼女がいかに完璧にこなしてくれていたのかと、そのありがたみを思い知らされるばかりだった。そしてなにより、隣にいるのが当たり前になっていた人がいないことに、とてつもない淋しさを感じていた。
「ずっと一緒にいたい」―。
日に日に深まっていく想い。付き合うときから頭にはあったが、1か月離れたことでよりその存在の大きさを痛感し、オフになって野球が落ち着いたらプロポーズしようと心に決めた。
クライマックスシリーズのファーストステージで敗れ、シーズンが終了したその半月後の10月31日、自身がもっとも思い入れのある場所でシンプルに「結婚しよう」と伝えた。両手には108本の真紅の薔薇の花束を抱えて。
そこで婚約指輪をパカッとしなかったのには、わけがある。ずっと以前、二人でディズニーランドに行ったとき、並んでいる目の前で突如、見知らぬカップルがプロポーズを始めた。指輪をパカッとして…。
「婚約指輪はいらないなぁ。普段つけるもんじゃないし、家に置いとくのならもったいない。高いし、それなら祐大が欲しいものを買ったほうがいい」。
彼女が発したその言葉を覚えていた山本選手は「じゃあ、何がいいかな」と思案し、薔薇の花束を思い立った。
しかもちゃんと調べて「あなたを愛しています」の赤、「結婚してください」の108本と、色と本数に意味を込めた。その想いの詰まった花束を、彼女は「よろしくお願いします」と笑顔で受け取ってくれた。
もちろん、件の言葉で彼女の堅実さに惚れ直したことは、言うまでもない。
■両家の両親にあいさつ
秋季トレーニングが終わったタイミングで、両家へのあいさつに向かった。
彼女の故郷、北海道の利尻島ではご両親とその友人知人も家に集まり、食べて飲んで大歓迎してくれた。今年の1月にも一度訪れており、もうすっかり打ち解けている。今季はご両親も観戦に来てくれたし、島の人々も応援してくれている。
「人がめっちゃ温かいんですよ。ほんとよくしてもらって、一緒に仲間に入れてもらったみたいな感じでした。食べものもおいしいし、自然も豊かで。利尻山っていういい山があって、そこは登ってないけど、その横にある山にも登ったりして」。
仲のいいご両親の姿を見るにつけ、「僕たちもこういう夫婦になりたい」と憧れ、このご両親のもとで生まれ育ったから彼女がこんなにもステキなのだと納得した。
もちろん、大阪に住む自身の家族も喜んでくれている。こちらもすでに紹介済みで、クライマックスシリーズでは彼女と一緒にスタンドから応援してくれた。
「『本当に祐大でいいの?』みたいな感じで言ってるんですけど(笑)。それくらい僕にはもったいない人だって、両親も思ってるみたいで」。
高校卒業時、またプロ入りしてからも心配をかけてきたが、今季は活躍する姿を数多く見せることができ、その上こうして身を固めたことで、ようやく安心させることができた。それがなにより嬉しい。
■お互いに支え合っていく
彼女がいれば無敵だ。出会ってからずっと支えてもらっているが、山本選手自身も「永遠に彼女を支えていきます」と誓う。
「うまくいかないことも多い職業だし、華やかに見えるかもしれないけど実際はそういうことでもないので、やっぱり心配をかけることはあると思う。いつかは現役が終わるときも来るけど、僕は野球を辞めても彼女のためならどんな仕事でもできるし、やろうという覚悟はある。だからずっとお互いに支え合っていければって思っています」。
自信をもって宣言する。
会話の中にたびたび「いい人に出会えた」という言葉が出てきて、とことん惚れ込んでいるのがわかる。ただそれは、一時の激情というよりも心からの尊敬を含んだ「敬愛」であることを色濃く感じさせる。
「僕、自分を結婚できない人だと思ってた。人に対して最初に決めつけちゃうというか線引きしちゃうし、そんな積極的にアプローチするタイプでもない。難しい人やし頑固なんで、結婚は無理やろなって思ってたんですよ。だから、まぁ自分でもビックリしてますね(笑)」。
結婚したいと思えた人は彼女が初めてで、「ビビビビッていうじゃないですか。これがそうなんかって思いましたよ」と、かつて流行語にもなった古い言葉を引っ張り出してきて表現した。
■「この人のために頑張りたい」と思わせてくれる人
入籍した今年の12月19日は「大安」「一流万倍日」「大明日」「天恩日」が重なる開運日で、婚姻関係や人生の転機となる行動がツキを呼ぶ日とされている。
こういうことを「調べようよ」と言ってくれたり、様々なことを教えてくれたりするのも彼女だ。「今まで野球しかしてきていない」という山本選手にとっては未知のこともあり、人生勉強にもなることも多い。それらはきっと、何らかの形で野球にも反映されているに違いない。
「この人のために頑張りたい」。そう思える人と出会い、ともに歩む決意をした山本祐大。最愛の妻を喜ばせるために来季はさらに野球で結果を出し、最高の姿を見せることを誓っている。
(表記のない写真の撮影は筆者)
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