NPBドラフトに向けて―石川ミリオンスターズ(日本海リーグ)の注目選手【野手編】
(「NPBドラフトに向けて―石川ミリオンスターズの注目選手【投手編】」からの続き)
■チーム内競争を勝ち抜いて、スカウトに注目される選手になる
NPBに行きたくて独立リーグに入る選手たち。その事情はさまざまだ。高校や大学、社会人時代に“プロ注”として話題にのぼり、調査書をもらいながら指名漏れをした選手もいれば、まったくの無名だが隠れた逸材だったり、はたまたケガや実力不足で試合出場すらろくになかったという選手もいる。
しかしどの選手も一様に、独立リーグでアピールしてNPB入りへのチャンスをつかもうと夢を抱いている。
だが独立リーグに入ったからといって、簡単に出場機会が得られるわけではなく、チーム内でも競争が激しい。石川ミリオンスターズ(日本海リーグ)の岡﨑太一監督も、それは明言している。
チーム内でアピールして出場機会を手にし、ゲームに出て結果を残す。その結果も秋まで継続しなければならない。いくらシーズン序盤で好成績を挙げても、終盤に息切れしてはドラフト候補のリストからは削除される。
ミリオンスターズにも、候補になり得る“ダイヤの原石”がゴロゴロいる。前回の投手編に続き、野手編も岡﨑監督の解説を交えて紹介する。(成績は6月13日現在)
■野手編
【森本耕志郎(もりもと こうしろう)】
高卒1年目の昨年も評価は高かったが、今年、捕手出身監督との出会いで大きく飛躍し続けている。
キャプテンも任され、すべてでチームを引っ張る。
《プロフィール》
2004年5月30日(20歳)
173cm・80kg/右投右打
駿台甲府高校
長野県出身/捕手/背番号2
《岡﨑監督評》
「成長してますねぇ。オープン戦ではめちゃめちゃ点を取られたり走られたりしていたし、最初は振り返ってのチャートも書けなかったのが、だんだん書けるようになってきて…。配球の振り返りの反省も、レベルの低いところからオープン戦の最後くらいは、口にする内容が変わってきた。
シーズンに入って香水(晴貴)が完封した(5月12日)くらいから、守備で自信をつけたのかな。送球も含めて安定感が出てきた。
僕もベンチで相手の反応を見ながら『次はこれやろな』とかしゃべっているけど、それが耕志郎も合うようになってきている。後で意図を訊いても、バッターがちゃんと見えているなと。最近、そういうのが多くなってきた。
今、一番成長しているとき。セカンドへのスローイングも、難しいボール(投球)でも刺したり、自信をつけたから落ち着いて投げられている。何か掴んでいる、今」。
《今季成績》
7試合/打席24/打数20/安打5/二塁打2/三塁打0/本塁打0
四球3/死球1/三振5/犠打0/犠飛0/併殺打0/打点4/得点4/失策2
打率.250/出塁率.375/長打率.350/OPS.725
盗塁阻止率.500/捕逸0
【上田大誠(うえだ だいせい)】*登録名は大誠
リーグ第1号を放つなど、長打力が魅力。
石川県のヒーロー・松井秀喜氏のような長距離砲を目指す。
《プロフィール》
2002年2月26日(22歳)
178cm・95kg/右投左打
小松高校―玉川大学
石川県出身/内野手/背番号10
《岡﨑監督評》
「飛距離もあって、バッティングはすごく楽しみ。バッティングもだけど、守備がけっこう安定している。ちゃんと捕れる、ちゃんと投げられるので、捕りさえすればというのはある。やはりサードを守れるのは大きい。ファーストではなくて。
バッティングは、いいときは仕掛けが早い。悪くなるとちょっと球を見よう見ようとしちゃうところがあるけど…。インコースを攻められているけど、そこの対応はこれからもずっと、NPBに行ったとしても重要なので、そこが鍵になってくる。
変化球を打つのはうまい、拾うのがね」。
《今季成績》
11試合/打席48/打数42/安打11/二塁打3/三塁打0/本塁打1
四球4/死球1/三振17/犠打0/犠飛1/併殺打1/打点9/得点4/失策3
打率.262/出塁率.333/長打率.405/OPS.738
【吉田龍生(よしだ りゅうせい)】
高い身体能力を誇る。パワー、スピードに加えてスタミナもアップさせて、ドラフト候補に名乗りを挙げる。
《プロフィール》
2000年6月4日(24歳)
180cm・88kg/右投左打
市立和歌山高校―奈良学園大学
和歌山県出身/外野手/背番号24
《岡﨑監督評》
「走攻守そろっている。外野でも守備範囲とか球ぎわの強さとか、肩の強さもある。足も速いし、バッティングでも長打も打てる。一番計算ができる。自分で練習の中で取り組んでいることも見える。
NPBにとなると、全部の上積みが必要かな。独立の中では全部が平均より上のレベルにはあるけど、そこからNPBに行くには1つじゃなくて全体を上げないと。
打てるし守れるし走れるしっていうところで、全部の数字で勝負していけるんじゃないかなとは思う」。
《今季成績》
11試合/打席48/打数42/安打13/二塁打4/三塁打0/本塁打1
四球6/死球0/三振10/犠打0/犠飛0/併殺打1/打点11/得点9/失策0
打率.310/出塁率.396/長打率.476/OPS.872
【森路真(もり ろまん)】*登録名は路真
国立大学出身の独立リーガー。金沢大学時代も、その飛距離は注目を集めていた。走力も高い。
名前の「ロマン」は、一度名乗ったら必ず覚えてもらえるという。
《プロフィール》
2001年9月10日(22歳)
187cm・88kg/右投右打
金沢泉丘高校―金沢大学
石川県出身/背番号60
《岡﨑監督評》
「路真は…“ロマン砲”ですね(笑)。
全然タイミングが合ってないような空振りとかもするけど、そのあと対応する。同じ球種を続けられたり、裏をかいてまっすぐが来たりしたら、それをカーンと打ったりする。
速いボールに対して、右バッターの中なら一番強い。しっかり振れる。スイングスピードはチームでもトップクラス。
打球が上がる。ライナー…強いラインドライブが多い。方向もセンターから逆が多い。アウトも内容がいいですね」。
《今季成績》
10試合/打席39/打数37/安打12/二塁打2/三塁打1/本塁打1
四球1/死球1/三振8/犠打0/犠飛0/併殺打2/打点5/得点7/失策0
打率.324/出塁率.359/長打率.514/OPS.873
ドラフト指名を得るには、ここから夏場を乗りきり、終盤さらに加速することが求められる。
夢をつかむために汗を流す選手たちの奮闘を祈りたい。
(撮影はすべて筆者)
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