オートバイのあれこれ『ヤマハの独創性は色褪せない。』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『ヤマハの独創性は色褪せない。』をテーマにお話ししようと思います。
とくに1970年代以降、日本の二輪メーカーは急成長を遂げるとともに多種多様なオートバイを開発してきました。
そしてそのなかにおいて、たとえば『スーパーカブ』や『カタナ』、『ニンジャ』等、後にメーカーを代表するロングセラーとなったモデル(シリーズ)も少なくありません。
今回は、ヤマハが生み出し、結果的にロングセラーとなったヤマハ製”長寿名車”を2つご紹介しましょう。
【 SR(400) 】〈1978〜2021〉
ヤマハのロングセラーモデルといえば、やはりSRではないでしょうか。
SRの元になっているのは『XT500』というオフロードモデルで、エンジンもこのXTへ搭載されていたものがベースとされました。
奇をてらわないスタイリングデザインに、シンプルな空冷単気筒エンジンを組み合わせたSRは、良くも悪くも“平凡”だったわけですが、SRに関してはこの平凡さがきわめて良い方向へ転がりました。
その時々の流行や世相に流されることなく、常に一定の人気を保ち続けたのです。
結果的にSRは、外見も中身についてもそのフォーマットはほとんど変わらないまま、40年以上生産されることになりました。
もちろん、40年の間には売れ行きが芳しくない時期もあり、また排ガス規制等の影響もあって一時生産が取り止められたこともありましたが、SRはずっと“SR”を貫き通したのです。
“平凡”を“非凡”なまでに貫徹し尽くしたSRは、日本が誇る稀代の名車といっていいでしょう。
【 VMAX 】〈1985〜2007〉
SRとは対照的に、比類なきオリジナリティでもって他の追随を許さず、ロングセラーとなったのがVMAXです。
ご覧のとおり、ネイキッドタイプでもクルーザー(アメリカン)タイプでもない、独特のスタイルが最大のポイント。
この独特なスタイルが生まれたのは、アメリカからの要望がきっかけでした。
ダッジ『チャージャー』やフォード『マスタング』といったマッスルカーを思わせるような“マッスルバイク”がリクエストされたのです。
ヤマハはそれに基づき、アメリカで人気だったドラッグレースのテイストを織り込んでこのVMAXを開発。
ロー&ロングのどっしり構えた車体に、迫力満点のV4エンジンを詰め込んでリリースしました。
発売後はアメリカで大人気を得たのは当然のこと、日本やヨーロッパにおいてもその独創性によって厚い支持を集めます。
そしてVMAXの話で外せないのが、『Vブースト』機構が備わっていること。
詳しいメカニズム解説は省きますが、エンジンが高回転域まで回った時に吸気量を増やし、パワーアップを図るためのものでした。
その風格ある佇まいと怒涛の加速を見せつけるエンジンに、当時のバイクファンたちはメロメロ。
この後、ヤマハ以外のメーカーからもVMAXに似たキャラクターのモデルがいくつか現れますが、VMAXの唯一無二のポジションが揺らぐことはなく、独自路線で見事ロングセラーの快挙を成し遂げたのでした。