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身体の硬いロマーリオのプレーがなぜ柔らかく見えるか。サッカーらしさを象徴する案件だ

杉山茂樹スポーツライター
(写真:Enrico Calderoni /アフロスポーツ)

 動きの柔らかい選手といわれて、いの一番に想起する選手はロマーリオだ。吸い付くようなトラップ。胸トラップからの反転ターン。身体を傾け、片足立ちになりながら放つボレーシュート等々、ネコ科の動物を連想させる、まさに人間離れした身のこなしに目は釘付けにさせられたものだ。

 1995年バルセロナからブラジルのフラメンゴへ突然、戻ったロマーリオを追いかけて、現地を訪れた時のことだった。スタンド下のとある片隅で、ロマーリオがトレーナーの手を借りて、柔軟体操を行っていた。直ぐにロマーリオだと判明したわけではない。この選手、もしかしてロマーリオ? と近づき、確信を得るまで少々、間が空くことになった。

 身体は滅茶苦茶柔らかいものと想像していた。トレーナーが背中を押せば、上体はその開脚した体勢から、べったり地面に付くものと思い込んでいた。トレーナーが力一杯押しても、20〜30センチ手前でうんうん言いながら止まっているその姿に、ロマーリオを直ちにイメージできなかった。

 動きの柔らかさは、身体の柔軟性とどれほど関係するか。この件に関しては、以前から引っかかりを感じていた。日本代表戦やJリーグの試合前、ピッチでウォーミングアップする選手を見て抱いた素朴な疑問だった。巧いのに硬い選手は少なくなかったからだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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