キャンプ場が酒盛り会場になるのであれば「キャンプ自粛要請」もやむなしか
緊急事態宣言や、まん延防止等重点措置が実施されている中、キャンプを自粛するべきかどうか頭を悩ませているキャンパーも多いのではないでしょうか。
感染対策を徹底してキャンプに向かったキャンパーや、自粛を選んだキャンパーなど、各自の判断に基づいてコロナ禍を過ごしていることでしょう。
閉鎖されていないキャンプ場においては、自粛することも、自粛しないことも、各自の判断次第です。
とはいえ、キャンプをしていることを大々的にSNSでひけらかすのではなく、注目を集めることなく静かに楽しむべきという意見もあり、キャンプという行為自体が肩身の狭いものになっています。
キャンプも自粛要請の対象に?
実はゴールデンウィーク中にキャンプが自粛要請の対象となったことを知っていたでしょうか?
キャンプ自粛は、小池都知事が4月28日に都庁でおこなった、ゴールデンウィーク中のステイホームを呼びかける会見が始まりでした。この会見では、酒類提供自粛から路上飲みが増加したことを指摘し、キャンプも同様に自粛が望ましいとしていました。
しかし、家族連れのキャンプやソロキャンプが、路上飲みに匹敵する感染リスクのある行為とは思えないというのが正直な感想ではないのでしょうか。
もちろん外出自体が感染リスクのある行為であり、不要不急の外出は極力控えるべきです。しかし、散々感染の原因を回避できると持てはやされたアウトドアが、いきなり自粛の対象になってしまうのは心情的にも納得できないものがあると思います。
キャンプ場が宴会場に?
ここで注意したいことは、路上飲みの延長線上に、キャンプが位置付けられていたことです。
つまりキャンプ自粛要請は、飲食店で酒類の提供が控えられたことで飲む場所を失った「飲み場所難民」に対してのメッセージであるといえるでしょう。
例え屋外であったとしても、飲酒しながら大声で会話していれば飛沫感染のリスクを上昇させます。また屋外だからと安心してマスク着用を怠っていれば、さらに感染の可能性が高まるでしょう。
昨今のキャンプブームで過密気味のキャンプ場に、飲酒を目的にした人が殺到することを懸念したからこそ「キャンプ自粛要請」に繋がったのではないのでしょうか。
飲み場所難民がキャンプ場に行くのはキャンプをするためではなく、飲酒をするためです。普段、キャンプ場でキャンプをする為に向かっているキャンパーとは、目的が異なっています。
飲食店で酒類の提供が控えられたことで、「路上で飲酒すれば大丈夫」という考えに至ってしまう層に対して自粛要請を怠れば、路上に続きキャンプ場も宴会場となってしまうことは想像にた易いことです。
マナーを守れない人が増えている?
実際に、普段アウトドアを楽しんでいる層とは異なった人々が、キャンプ場や河原に押し寄せていることがわかる記事があります。
京都府南丹市ではアクセスの良い河原に、京阪神からレジャー客が押し寄せ、ゴミを放置したり民家のトイレを借すことを断った住民が暴言を吐かれることがあったと京都新聞が報じました。そこで河原に近い市道を4月30日から、京都府南丹市が通行止めにしたそうです。
この様に緊急事態宣言発令以前から、アウトドアを楽しむ上で守るべきマナーを守れない人が増えている事が分かります。
近隣住民からの苦情はキャンプ場の存続に大きな影響を与えます。
相次ぐ無料キャンプ場閉鎖のワケ 利用者マナーの悪化が原因だった!
ゴールデンウィーク中に、キャンプまでもが自粛の対象になった事は、そういった背景に加え、飲食店で酒類の提供が控えられたことを我慢できない「飲み場所難民」の存在が大きいと考えられます。
今回6月20日まで延長された緊急事態宣言、まん延防止等重点措置の発令下の中、再びキャンプが自粛要請の対象となることが考えられます。
これを踏まえ、当分キャンプを控えるのも選択の一つですし、感染対策をおこない、キャンプ場の美化に努めつつキャンプを楽しむことも選択の一つです。
自粛していないキャンパーは悪い、自粛しているキャンパーは偉いといった判断ではなく、キャンパー同士の考えを尊重し、全てのキャンパーが心置きなく楽しめる日が来る様に、それぞれが新型コロナウイルス感染拡大の状況下におけるアウトドアとの付き合い方を考えるべきではないのでしょうか。